2021.01.30ブログ
第21回 アルコール(種類、関連疾患、相互作用)
アルコール飲料とは、酒税法上「1%以上のエチルアルコールを含有する飲料」に該当するものを指します。
特に赤ワインで顕著ですが、片頭痛の誘発・増悪因子となるチラミンなどのアミンを含有します。アルコール飲料以外のチラミン含有食品は、個人によって反応が異なるため、特に摂取の制限を指導する必要はありません(参照:日本神経学会・日本頭痛学会『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』)。
種類
アルコール飲料は、醸造酒と蒸留酒、混成酒に分けられます。
1)醸造酒(Brewing Liquor)
果実や穀類を原料として発酵させ、そのままあるいはろ過して製品としたものです。糖質にエチルアルコールが含まれるのが特徴です。醸造酒に糖質・たんぱく質が含有されているため、カロリー計算する必要があります。
醸造酒に該当するビールは大量に飲めるため、血糖値を上昇させてインスリンを分泌させるので、肥満の原因となります。
原材料のエキス分は多く、まろやかな味が特徴です。
醸造酒の特徴
・アルコール度数が低い(4〜5%が中心で、高くても20%あたり)
・果実などの糖分を酵母が発酵させた「単発酵酒」、麦などのデンプン質を糖化させて、酵母が発酵させた「単行複発酵酒」、米の糖化と発酵を同じ容器で同時進行させる「並行複発酵酒」の3種類ある
主な種類
・単発酵酒:ワイン、シードル、馬乳酒など
・単行複発酵酒:ビールなど
・並行複発酵酒:日本酒、マッコリ、紹興酒など
2)蒸留酒(Spirits)
醸造酒を蒸留して、アルコール度数を高くした酒類です。蒸留時に糖質はなくなります。エキス分が少ないので淡白な味ですが、強い香りが特徴です。
醸造酒の特徴
・アルコール度数が高い(20%〜70%)
主な種類
焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、テキーラ、ジン、ラムなど
3)混成酒(再製酒)
上記2種のお酒のいずれかに、糖類、果実、植物の根茎、集、香料など様々な材料を添加した種類を指します。
主な種類
みりん、梅酒、ベルモット、シェリー酒、薬酒など
摂取量
厚生省の「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」によると、適度な飲酒量は1日平均純アルコールで20g程度です。
ちなみにアメリカのガイドラインでは、飲料は女性なら1日1杯(純アルコール換算で10g=グラス1杯のワイン、ビール)、男性なら1日2杯以下に抑えることが推奨されています。イギリスの場合、性別に関わらずアルコール飲料は(ワイン換算で)1日2杯までに抑えるべきとされているようです。
純アルコール20gに対するお酒のカロリー・量
・ビール:量500ml(中瓶1本)、カロリー約200kcal
・清酒:量180ml( 1合)、カロリー約196kcal
・ウイスキー(ブランデー):ダブル1杯、カロリー約142kcal
・ワイン:ボトル1/3、グラス1杯(約240ml)、カロリー約88kcal
・焼酎(35度):1杯、1/3合(60ml)、カロリー約124kcal
エネルギー
アルコールのカロリーは、FAO/WHO合同特別専門委員会では7.1kcal/gとされています。しかしエネルギー利用効率は約60~70%と推測されるため、約5kcalと考えればいいでしょう。
アルコールの摂取後、常時よりも熱の放散、酸素消費量が増加し、薬物代謝経路である肝臓でアセトアルデヒドに分解される過程で、エネルギー必要量が増大。この工程で、約30%のエネルギーが速やかに消費されます。
アルコールは食欲増進作用があるため、過食が進み内臓脂肪の蓄積の増進も報告されています。アルコールだけのカロリーだけでなく、おつまみや追加で食べてしまわないかの注意が必要です。
関連疾患
アルコール飲料は、循環器疾患やがんなどの、生活習慣病の発症・死亡例と関連することが、数多くの研究で指摘されています。
特に脳卒中のうち、脳梗塞では飲酒量に応じて相対リスクがJ字型に増大するという報告もあります。
認知症
「WHO認知症予防ガイドライン」予防のための推奨事項において、飲み過ぎが認知症悪化に関与している可能性があると報告されています。
同ガイドラインにおいて、アルコールの認知症への関連度は、科学的根拠の強さが「中」と評価されています。
動脈硬化
動脈硬化による脳梗塞や、心筋梗塞と相関性の高いバターなどの高脂肪食を食べるフランス。同国は喫煙率も高いですが、近隣諸国より心筋梗塞の死亡者が少ないことが知られています。
これを「フレンチ・パラドックス(フランスの逆説)」と呼び、フランスではワインの摂取量が多いため、これが健康に良い働きをしているのではと考えられてきました。
その後複数の研究で、アルコール飲料は少量なら動脈硬化を原因とする病気による死亡率を、減らす可能性があると報告されています。これが「アルコール飲料は少量であれば健康に良い」と言われるようになった所以です。もちろん、過度な飲酒は病気リスクを高めるので、注意しなくてはいけません。
がん
飲酒は上部消化管がんを中心に、がん発症リスクを高めるとされています。WHOのIRAC(International Agency for Research on Cancer)は、複数の疫学研究等の結果に基づき、「酒類」及び「酒類中のエタノール」を、発がん性がある「Group1」に分類しました。
実際に飲酒は、口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸・女性乳房といったがんのリスク上昇との間に、因果関係があります。総死亡率に対しても、多くの研究で飲酒量と死亡率の相関に、J字型の増加が報告されました。
わが国における※コホート研究では、総死亡で見た場合に21g/日以下の少量飲酒群で、最もリスクが低いとする報告がある一方、43g/日以上でのみリスクが高くなる、飲酒量の増加に従ってほぼ単調にリスクが増すという報告もあります。
※コホート研究
研究対象とする病気にかかっていない人を大勢集め、将来にわたって長期間観察し追跡を続けることで、ある要因の有無が、病気の発生または予防に関係しているかを調査
アルコールは、たとえ少量でもがん(特に乳がん)のリスクを上げる危険性があると、以前より報告されてきました。
1日アルコール10gの場合、心筋梗塞や糖尿病のリスクは低いです。しかし同量のアルコールでも、乳がんや結核、およびアルコールに関連した交通事故や外傷のリスクが高いことから、飲酒量の多寡に関わらず、傷病のリスクがあるという結果に落ち着くのです。
2018年8月23日に世界的権威のある医学雑誌『ランセット』で、以前は少量であれば健康に良いが過量になると悪影響があると考えられていたアルコール飲料が、「たとえ少量でも健康に悪い」という報告があります。
今回の研究はこの2つを組み合わせると健康への影響がどうなるのかを分析したものです。
医学誌であり『ランセット』に世界195か国で実施された、合計592の研究を統合した論文が発表されました。そこでは、心筋梗塞、乳がんを含む23個の健康指標に対する、アルコールの影響が総合的に評価されたのです。
この論文では、飲酒量が1日1杯では各種リスクは上昇しないものの、1日1杯以上になると、飲酒量が増えるに従い発症リスクが上昇するというものでした。
論文では、健康リスクを最小化する飲酒量に関して、最も信頼できる値は1日0杯。95%の確率で、0~0.8杯/日の間に収まると報告されています。
近親者にがん発症社がいる人の場合、遺伝的な観点も加味してアルコール摂取を最小限に抑えることが勧められています。また『ランセット』掲載の論文において、少量の飲酒でも病気のリスクが上がる要因は、がんだけでなく飲酒に伴う事故やケガも含まれていました。
参照:GBD 2016 Alcohol Collaborators 2018
心筋梗塞
病気ごとで見てみると、心筋梗塞は、飲酒量が少量であるほどリスクが低く(男性0.83杯/日、女性0.92杯/日でリスクが最小になる)、ある程度以上になるとリスクが高くなると報告されています。
『ランセット』2018年4月号に掲載された論文では、83個の研究を統合・解析したところ、アルコール換算で週100gまでであれば、脳梗塞や心筋梗塞による死亡リスクは上がらないと報告されました。
しかしここで注意が必要なのは、アルコール飲料で脳梗塞や心筋梗塞のリスクが下がったのか、実際にアルコール飲料を飲んでいる被験者の脳梗塞・心筋梗塞リスクが低かったのかが分からないという点です。
相互作用
薬を服用しているときにアルコール飲料を飲むと、薬効が強くなったり弱くなったりすることがあります。また、副作用も出やすくなることも報告されています。
ある種の薬はアルコールの代謝を抑える働きがあるので、お酒に酔ったときの症状が強くあらわれることも。お薬もアルコールも主に肝臓で代謝されるので、肝臓への負担がさらに増大してしまいます。
また睡眠薬や精神的な緊張を和らげる薬は、アルコール飲料と一緒に飲むと効果が非常に強くなります。
こうした相互作用の問題から、薬とアルコール飲料を一緒に飲むのは極力避けることが賢明です。
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