2021.03.13ブログ
第27回 グルタミン酸ナトリウム(MSG)の健康被害に関する考察
グルタミン酸ナトリウム(Monosodium Glutamate、以下MSG)は、うまみ調味料や味の素の主成分です。
グルタミン酸の発見とMSGのはじまり
1908年、東京帝国大学の池田菊苗氏が昆布からグルタミン酸を抽出。抽出したグルタミン酸をナトリウムで安定させたことで、MSGが生まれました。
昆布など中性食品において、グルタミン酸はナトリウム、カリウムといった栄養素と結合して存在し、独特の味を発揮します。池田教授はそれを「うま味」と命名。その後、今日も行われている多くの研究により、うま味がチーズ、トマトなど多彩な食品にも含まれていると判明します。
MSGは1909年より「味の素」という商品名で販売。発売当初は小麦グルテン、コンブなどから抽出生成されていましたが、その後は石油を原料にした合成法が採用されます。現在は安全性への配慮から、さとうきびからとれる糖蜜を発酵させる製法により、大量生産を可能としています。
「中華料理店症候群」を発端にしたMSGの安全性に対する議論
1968年、アメリカの医師が中華料理を食べた直後に炎症を覚えました。当時に起きた症状は、次の通りです。
・頭痛や顔のほてり
・紅潮
・眠気
・掻痒感
・発汗
・体の痺れ
・軽度の背中の無感覚
など
医師はこれを「中華料理店症候群」と名付け、国際的に権威のある学術誌『New England Journal of Medicine』で報告しました。アメリカでは中華料理店で多くMSGが使用されていたため、「グルタミン酸ナトリウム症候群」という呼び名もありました。
これに対し、発売元の味の素株式会社は次のように主張しました。
「MSGは1世紀以上にわたって安全に使用されてきた調味料であり、何百もの科学的研究によって安全性が保証されている」
以来、多くの実験・研究が実施。1987年にはFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が、MSGは安全であると認め、欧州連合食品科学委員会(SCF)、アメリカ食品医薬品局(FDA)もまた、同様の判断を下しました。
MSGの許容量、EUと日本の規制状況
科学的観点では、MSGは常識的に食べる量であれば安全とされています(食品安全委員会の資料『食べ物の基礎知識』より)。1日の許容量は6gといわれていますが、1食2gを超えると、なんらかの症状が現れるという指摘もあります。
EUはMSGに対して、食品添加物での使用は許可しています。しかし、使用できる量は料理1kgあたり10gまで。推奨摂取量は体重1kgあたり30mgまでと定めています。料理人、食品メーカーともに、この法定最大使用量を遵守しなくてはなりません。
ちなみに、MSG摂取量3gは、食塩1gに相当するとされています。日本国内でも、食品衛生法でMSGのベビーフードへの使用は禁止されているなど、使用が禁止され、一定の制限がかけられています。
MSGと肥満、緑内障、脳障害との関連性
2008年に中国で行われた研究では、料理にMSGの使用する家庭と使用しない家庭を比較すると、使用家庭の方が肥満者が多いという結果が得られました。
また動物実験でも、MSGが肥満抑制に関わるホルモンのレプチンを破壊するという結果が認められています。健康に大きな被害はなくとも、MSGの過剰摂取は過食につながるのではという可能性が、複数の研究から示唆されているのです。
弘前大学・大黒教授らの研究によると、MSGを過剰摂取させたラットのガラス体と網膜神経節細胞には、MSG蓄積が多くみられました。またグリア線維性酸性タンパク質の発現が増加し、網膜ニューロン層の厚さが著しく薄くなっていることも確認されたのです。
アジアでは欧米に比べ、緑内障患者が多く存在します。これは、欧米と比べMSGの摂取量が多いことが、原因のひとつではないかと大黒教授は報告しています。こうした人体への影響から、MSGの危険性については日夜研究と論議が繰り返されているのです。
MSGは分子が小さいため、脳血液中関門を容易に通過し脳へ多大な影響を与えます。MSGは胎盤も通り抜けるので、胎児の脳の発育を遅らせる危険性も報告されています。母体の肝臓機能が低下している場合、特に注意しなくてはいけません。
1969年7月、アメリカ上院の食品栄養保健選択委員会ではMSGをめぐってある証言が行われました。当時、精神病学者のオルニー氏は次のように語っています。
「乳児が食べるのと同じ比率量のMSGをネズミに与えた場合、脳や眼に障害が生まれます。この事実を皆様は、どう捉えるでしょうか?」
同年代に解説された、愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所の井上稔氏によると、妊娠したネズミにMSGを皮下注射すると、胎児に脳障害が起こりました。経口摂取の実験でも、4倍量のMSGで同じ結果が得られました。研究では、脳以外にも成長ホルモンや生殖機能、甲状腺などで障害が起こりうるとされています。
ネコを使った別の実験では、MSGを脳に注入して脳波を調べると、直後に海馬や扁桃核から発作波がでてきます。特に海馬周辺を刺激されると、味の幻覚が起こったそうです。
これらはあくまでネズミ、ネコによる実験のため、全く同じ事態が人間にも起こるとは限りません。しかしオルニー氏の証言が本当であれば、人体への影響も考慮に入れなくてはならないでしょう。
MSGを混ぜた「複合調味料」の影響
91年7月から食品添加物の表示が変わり、MSGだけの場合は「調味料(アミノ酸)」、核酸系などの他のアミノ酸が混ざったものは「調味料(アミノ酸等)」とそれぞれ表示されています。
MSGに5-イノシン酸や5-グアニル酸などの、核酸系調味料を加えた「複合調味料」は、さらにうま味が増すとされています。
しかし体質によっては、核酸系調味料を摂取すると痛風を患いやすくなると言われているのです。日本では1960年代から痛風患者が急増しています。これは肉食が大きな原因のひとつとされていますが、同時期に核酸系調味料が普及されたという事実も、原因だと考えられています。
核酸は大小問わず、ほぼすべての食品に含まれます。しかし、当然ながら過剰摂取は身体に悪影響です。実際に日本人は、1日あたり数百mgの核酸を、摂取しているとも言われています。
大量生産した核酸系としては、武田薬品工業の「いの一番」という商品が最初です。また味の素が発売する「ハイミー」には、MSGのほかにイノシン酸という核酸系が12%も含まれます。
イノシン酸は発酵・合成とを組み合わせて製造されるもので、X線照射などで人工的に変異させた、イノシン生産能力の非常に強い「変異株」を使って発酵させます。これらの放射線は分子を分裂させ、生殖に影響を与える懸念も。いずれにせよ、人体に対して急性・慢性両面での毒性が本当にないのかは、疑問が残るところです。
参考文献
・World umami forum
・WHO国際化学物質安全性計画、グルタミン酸塩
・アメリカ食品医薬品局(FDA)「Questions and Answers on Monosodium glutamate (MSG)」
・欧州食品安全機関(EFSA)“EFSA reviews safety of glutamates added to food”
・うま味インフォメーションセンター(Umami Information Center)
・The Glutamate Association(グルタミン酸協会)
・食品安全委員会・食べ物の基礎知識
・Taste science, culture and communication report
・『あぶないコンビニ食』(山田博士氏著、三一新書刊)
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