2021.06.19ブログ
第40回 代謝の概要
1)代謝とは
代謝(Metabolism)は恒常性を維持する細胞、組織、器官で起こる化学変化、あるいはそのプロセス全般のことである。代謝による身体の変化の根底を成す、様々なシグナル伝達イベントや化学反応を解析すると、正常細胞の生理学と疾患の理解を深められる(Metabolismは「変化すること」を意味するギリシャ語が起源である)。
2)主な代謝
(1)細胞代謝
複雑に並んだ生化学反応によって成される代謝であり、主なものに生体分子の合成(同化)、維持、分解(異化)に分けられる。代謝過程には様々な酵素・コファクターが関与しており、細胞の基本的な構成要素となる脂質、アミノ酸、炭水化物、ヌクレオチドの合成・分解に働く。
細胞代謝を成す様々な反応が、細胞の構成成分やエネルギーのプールに、分子を追加・差し引くといったすべてのプロセスを形成する。a食事による栄養素の取り込みが、主な細胞代謝反応に影響する。
(2)脂質代謝
細胞内の脂質の合成・分解の総称である。具体的にはエネルギー生成のための脂肪の分解(あるいは貯蔵)、細胞膜の構築に関わる脂質である、構造脂質・機能脂質の合成が含まれる。
脂質はエネルギーが豊富で、細胞機能を支持するための燃料として利用されている。さらに、脂質は主要な細胞構造の重要な構成成分でもあり、多くの重要なシグナル伝達ネットワークにも関与する。
脂質は栄養やエネルギーが欠乏した場合に生命機能を支持するため、異化作用を介して利用され。中性脂肪やコレストロールなど、主要な脂質は食事で摂取され、適切に消化吸収される必要があります。
人も含む動物は、脂質を食事によって取り込むか、肝臓の合成によって脂質を得る。
(3)炭水化物代謝
炭水化物の同化、異化、相互転換といった代謝の総称である。炭水化物は炭素、水素、酸素(C、H、O)からなり、単糖類、二糖類、多糖類など様々な形で存在する。炭水化物代謝は摂食後速やかに始まり、唾液アミラーゼといった酵素でより単純な糖へと分解される。
1.炭水化物の分解
炭水化物代謝は口腔内の酵素から分解が始められる。唾液アミラーゼにより、多糖をより単純な分子へと分解。消化のプロセスは小腸まで継続し、膵臓アミラーゼが部分的に消化された多糖を、単糖まで分解することで一連のプロセスは完了となる。
2.グリコーゲン生成
最も基本的な単糖であるグルコースは、小腸で吸収されて血流に乗り、循環器系によってすべての器官に輸送される。グルコースの細胞への取り込みは、インスリンを介して誘導される。グルコースは特に肝臓と筋細胞で多く取り込まれ、代謝酵素が多糖類のグリコーゲンに変換。この過程をグリコーゲン生成と呼ぶ。
血中のグルコース濃度が低下すると、貯蔵されたグリコーゲンは迅速に加水分解されてグルコースになり、体内に供給されていく。グリコーゲンは緊急時の燃料の供給源として機能し、血中グルコース濃度が低下すると速やかに分解されるが、この過程をグリコーゲン分解と呼ぶ。
(4)アミノ酸代謝
たんぱく質は、非常に多くの機能を担う。
アミノ酸の主な機能
①細胞内外の構造(細胞・組織・器官)の構成成分
②シグナル伝達
③分子輸送(酵素として関与)
④免疫機能を媒介
アミノ酸はたんぱく質の構成単位で、連結してポリペプチド鎖を形成。これが折り畳まれて三次元構造が完成すると、成熟たんぱく質として機能する。
たんぱく質の消化は胃で始まり、胃酸と消化酵素ペプシンがポリペプチドに分解。ポリペプチドはその後、アミノ酸まで分解される。アミノ酸は他のたんぱく質の材料としてリサイクルされるか、肝臓でさらにα-ケト酸に分解される。
α-ケト酸
エネルギー産生、グルコース、脂肪、新しいアミノ酸の合成に利用される。
アミノ酸の分解ではアンモニウムイオンが産生され、アンモニア毒性を除去する尿素サイクルとも関わる。また、たんぱく質は飢餓条件で非常に有用なエネルギー源にもなる。たんぱく質の分解により、クエン酸サイクルに送り込まれる代謝中間体が産生される。
(5)ヌクレオチド代謝
ヌクレオチドは核酸の構成単位で、五炭糖、リン酸、塩基で形成される(RNA、DNAの合成には構造のよく似たヌクレオチドが使用されるが、実際には塩基部分に大きな違いがある。RNA合成ではチミジンの代わりにウラシルが使われる)。
ヌクレオチドは、プリンとピリミジンの2つの主なグループに分類される。どちらもリン酸基と五炭糖から成り立つが、大きさ・窒素塩基が異なる(アデニンとグアニンはプリンであり、シチジン、ウリジン、チミジンはピリミジンである)。
プリンとピリミジンの合成のエネルギー源として、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン三リン酸(GTP)が利用される。ATPとGTPは細胞の主なエネルギー担体で、リン酸基どうしの結合にエネルギーが蓄えられる。リン酸基同士の結合が一つ切断される際に放出されるエネルギーが、細胞機能を発揮するためのエネルギーとなる。
リン酸基はホスファターゼ酵素を介して端から切除され、ATPとGTPからアデノシン二リン酸(ADP)とグアノシン二リン酸(GDP)、さらにアデノシン一リン酸(AMP)とグアノシン一リン酸(GMP)が産生される。
一連の反応は可逆的なのが特徴で、リン酸基は酵素のキナーゼによりADP/GDPやAMP/GMPにそれぞれ付加されることまる。ピリミジン合成経路ではウリジンからUTP、シチジンからCTPヌクレオチドも合成される。
3)ミトコンドリア
ミトコンドリアは、細胞代謝とエネルギー産生で中心的な役割を果たす細胞内小器官である。ミトコンドリアは主要な代謝経路、細胞運命決定機構をコントロールしつつ、体内に取り込まれた栄養素をエネルギー(主にATP)に変換するエンジンとして機能する。
栄養素の代謝産物からATPを合成することが、ミトコンドリアが行なう非常に重要な機能のひとつである。ミトコンドリア内膜の※呼吸鎖サブユニットを通して、中間産物の電子の受け渡しをすることで、クエン酸回路の代謝産物からATPが合成される。この電子の受け渡しによって、※プロトンが膜間腔にくみ出され、ミトコンドリア内膜の内外に生化学的な※プロトン濃度勾配が形成される。
※プロトン
化学の領域では水素イオンを指す。なお物理学の領域では陽子を指す
※プロトン濃度勾配(プロトン勾配)
電子伝達系により細胞膜の内外に生じた水素イオンの濃度差(勾配)で、ATP合成の原動力となる
※呼吸鎖
生物が酸素を用いる好気呼吸を行うときに起こす細胞呼吸の3つの代謝のうちの最終段階。 電子伝達系ともいう。 ATPを細胞に提供する仕組みで、ミトコンドリアの内膜にある脱水素酵素複合体の連鎖のこと
※サブユニット
他のたんぱく質と会合して、多量体タンパク質やオリゴマータンパク質を形成する単一のタンパク質分子のこと
(1)好気呼吸(嫌気呼吸)
プロトンのくみ出しは、ミトコンドリア内膜にある主要な※呼吸鎖複合体I、III、IVによって行われる。呼吸鎖複合体は電子の受け渡しで得られるエネルギーを用いて、プロトンを※ミトコンドリアマトリクスから膜間腔にくみ出す※プロトンポンプとして機能する。
酸素分子最終的な電子の受容体で、複合体IVから電子を受け取りH2Oに還元される。こうして(ミトコンドリア内膜を挟んで)ミトコンドリアマトリクスと膜間腔の間に生み出されたプロトン濃度勾配が、ADPからATPを産生するエネルギーを供給する。
※プロトンポンプ
生物体内で光エネルギーなどを利用して水素イオンを能動輸送し、生体膜の内外に膜電位やプロトン勾配を作り出す機能のこと
※呼吸鎖複合体
細胞呼吸を行うほとんどの生物に見られる膜(ミトコンドリア内膜、チラコイド膜、原核生物の細胞膜)に存在する、10万〜100万程度の分子量で構成される巨大たんぱく質。呼吸鎖複合体I〜IV からなる(ATP合成酵素を呼吸鎖複合体 V とする場合も)
※ミトコンドリアマトリクス
ピルビン酸その他の小さな有機分子の酸化を触媒する可溶性酵素を含むミトコンドリアの部分
この効率的なエネルギー産生プロセスは、酸素に依存することから「好気的呼吸」と呼ばれる。好気的呼吸は酸素を必要としない嫌気的代謝(グルコースから乳酸を産生する嫌気的解糖など)と比較して、最初の栄養素の投入に対し最も効率的にATPを生み出せる。
ミトコンドリアの機能とエネルギーの生成は、脳内の細胞 (ニューロン)、心臓 (心筋細胞)、膵臓 (β島) など、体内のエネルギーの要求が高い組織と細胞で特に重要です。ミトコンドリアの機能は全細胞にとって重要で、ミトコンドリアの機能に障害があると疾患の原因となります。ミトコンドリア機能障害の結果として生じる疾患の重篤度は、それが生じた細胞の代謝要求性によって感受性が異なります。
(2)独自の生理機能
ミトコンドリアは独自の生理機能を持つことでも知られ、細胞の代謝に寄与する。しかし、ミトコンドリアは細胞内に単独で存在しているわけではなく、細胞質全体の動的なネットワークに組み込まれている。このネットワーク内のミトコンドリアのライフサイクルには、※生合成、融合と分裂、運動、分解といったプロセスがある。
※生合成
生体内で有機物が合成されること。酵素の触媒作用と、光や呼吸などによるエネルギーの利用とで進行する化学反応とがある
このプロセスのうち、生合成は新しいミトコンドリアの発生を指す。融合は別々のミトコンドリアが1つになることで、分裂はひとつのミトコンドリアが別々のミトコンドリアに分離すること。
ミトコンドリアは細胞の様々なエネルギー要求に対応するため、またミトコンドリアの損傷に反応して細胞のミトコンドリアの機能を保存するため、これらの反応が継続的に発生する。
(3)マイトファジー
マイトファジーはミトコンドリアに選択的に影響を及ぼすオートファジーに似たプロセスであり、ミトコンドリアの構成成分が分解される反応を指す。ちなみにオートファジーは特に、損傷したミトコンドリアの除去を行う反応である。
ミトコンドリアのオートファジーやマイトファジーの障害は、機能不全のミトコンドリア蓄積の原因となる。実際にパーキンソン病の発症など、いくつかの疾患でマイトファジーの障害との関与が判明している。ミトコンドリアの機能の制御と維持は、代謝恒常性の維持に非常に重要だと言える。
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