2021.06.26ブログ
第41回 主な代謝経路
1)解糖系
解糖系は、複数の生化学的反応を経てグルコースをピルビン酸・ATPへ分解する経路である。解糖系の反応は細胞質で起こり、一連の酵素を介して6個の炭素を持つグルコース分子を、3個の炭素を持つピルビン酸分子2個に分解。解糖系は酸素を必要としないため、嫌気性生物において支配的な異化反応とされる。
しかし、解糖系は酸素の供給が制限された環境において、好気性生物にも有用な経路でもある。
1)−1 クエン酸回路 (クレブス回路)
クエン酸回路は別名クレブス回路としても知られ、解糖系に続く細胞内グルコース代謝の次のステップである。クエン酸回路はミトコンドリアで起こり、解糖系の最終産物ピルビン酸の誘導体であるアセチル補酵素A(アセチルCoA)により開始される。
クエン酸回路は酸素を必要とし、二酸化炭素と水を副産物として産生する。この経路は高エネルギー分子の※NADH、FADH2、ATPを産生する、一連の酸化還元反応で構成される。解糖系では、グルコース1分子からそれぞれに2分子のピルビン酸が産生される。
※NADH
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド。全ての真核生物と多くの古細菌、真正細菌で用いられる電子伝達体
※FADH2
フラビンアデニディヌクレオチド。いくつかの代謝反応に必要な酸化還元反応の補因子
つまりクエン酸回路2周駆動され、1周当たり二酸化炭素が2分子、NADHが3分子、FADH2が1分子、ATPが1分子ずつ産生される。クエン酸回路そのものはそれほどの量のATPは産生しないが、細胞の重要なエネルギー通貨であるNADHとFADH2を産生。これらは酸化的リン酸化に共役した、電子伝達系の電子担体としての役割を果たし、高エネルギーを産生する。
1)−2 酸化的リン酸化(OXPHOS)
細胞呼吸(糖代謝)の最後の段階。酸化的リン酸化はミトコンドリアの内膜を挟んで起こり、一連の酸化還元反応において、ミトコンドリア内膜にある5つの膜貫通型酵素複合体が、電子を1つの分子から別の分子に移動させる(電子伝達系)。
酸化的リン酸化では、電子の受け渡しで得られるエネルギーを利用してプロトンポンプを駆動し、ミトコンドリア内膜を横切って※ミトコンドリアマトリクスから膜間腔へプロトンを輸送し、※プロトンの濃度勾配を形成させる。これが酸化的リン酸化を生じさせる電気化学的勾配の起源でもある。
膜間腔に蓄積した※プロトンはその後、電子伝達系の最後の複合体であるATP合成酵素を通って、形成された濃度勾配に従ってミトコンドリアマトリクスに流れ込む。ATP合成酵素分子は※分子モーターとして機能し、プロトンが濃度勾配を流れ落ちることで得られるエネルギーを利用して、ADPにリン酸基を付加する反応を触媒。これによりATPが産生される。酸化的リン酸化によって、グルコース1分子当たり30〜36分子のATPが産生される。
※ミトコンドリアマトリクス
ピルビン酸その他の小さな有機分子の酸化を触媒する可溶性酵素を含むミトコンドリアの部分
※膜間腔
ミトコンドリアおよび葉緑体の内膜と外膜の間の領域
※プロトン濃度勾配(プロトン勾配)
電子伝達系により細胞膜の内外に生じた水素イオンの濃度差(勾配)で、ATP合成の原動力となる
※プロトン
化学の領域では水素イオンを指す。なお物理学の領域では陽子を指す
※分子モーター
細胞内で何らかのエネルギーを機械的な動きに変換する分子
2)ペントースリン酸経路
細胞呼吸では、解糖系で産生されたピルビン酸がクエン酸回路と酸化的リン酸化に供給される。しかし解糖から分岐し、DNAとRNAの合成に必要な糖を産生する、ペントースリン酸経路という別の細胞質経路がある。
これは解糖系の最初のステップで産生される分子、グルコース-6-リン酸(グルコースにリン酸基が付加したもの)を利用して、※NADPH、ペントース、リボース-5-リン酸(ヌクレオチド合成の前駆体分子)を産生する。NADPHは脂肪酸代謝や活性酸素種 (ROS) の制御など、他の生合成過程でも重要な機能を果たす。
※NADPH
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸。光合成経路あるいは解糖系のエントナー–ドウドロフ経路などで用いられている電子伝達体
※ペントース
5個の炭素原子を含む単糖(五炭糖ともいう)
3)グルタミン代謝
特異的なアミノ酸輸送体を介して細胞内に輸送され、ミトコンドリアでグルタミン酸に変換される。グルタミン酸はさらに、クエン酸回路の中間産物であるα-ケトグルタル酸に変換される。
4)尿素回路
オルニチン回路とも呼ばれ、体内のアンモニアの毒性の蓄積を防ぐために必要な経路である。主に肝臓で起こり、アミノ酸分解の副産物であるアンモニウムイオンから尿素を産生する生化学反応で構成される。
この回路では、タンパク質代謝中に起こるアミノ酸のアミノ基転移で産生されたアンモニアに二酸化炭素を加え、最終的に尿素と水を産生。これらはその後、腎臓で尿として排泄される。尿素回路の最初のステップはミトコンドリアで起こり、後のステップは細胞質に移って行われる。
5)脂肪酸合成
脂肪酸合成は細胞質で起こり、※アセチルCoAとNADPHから脂肪酸を合成する。このプロセスは※脂肪酸シンターゼによって触媒される。脂肪酸合成に必要なアセチルCoAは、解糖系によるグルコースの分解で供給される。グルコース分解は、グリセロールも産生する。
これは3個の脂肪酸サブユニットと結合して中性脂肪 (トリグリセリド) ができる。リン脂質の生成も脂肪酸代謝の重要な側面であり、リン脂質は生体膜の主要な構成成分となる。グリセロールにリン酸基と脂肪酸2個が結合すると、リン脂質が形成される。リン脂質は細胞内で多数の機能を持つが、最も重要なものは細胞膜を成す脂質二重層の形成である。
リン脂質は細胞膜や※オルガネラ膜の構成成分だが、医薬品の合成にも利用されている。これは、生体膜の透過性を向上させ、生物学的利用効率を改善するためである。
※アセチルCoA
アセチル補酵素Aの略称。糖、脂肪酸、アミノ酸などの代謝によって生成する、アセチル基の代謝中間体。
補酵素A(coenzyme)と酢酸がチオエステル結合したものであり、ミトコンドリアの呼吸基質となるほか、脂肪酸生合成の素材としての機能、アセチル化のアセチル基供与体になるなど,重要な生理的機能をもつ
※脂肪酸シンターゼ(肪酸合成酵素)
※マロニルCoAとアセチルCoAから脂肪酸を合成する、複活性ドメイン酵素のタンパク質
※マロニルCoA
脂肪酸の生合成の代謝中間体
※オルガネラ
細胞小器官
6)糖新生
炭水化物以外の物質からグルコースを合成する反応。グリコーゲン分解と同様に、血糖値の低下を抑える適応プロセスであり、主に肝臓で起こる。糖新生は通常、栄養素の摂取が低い時や激しい運動を行った時、低炭水化物食品を摂取している時に起こる。
7)一炭素代謝
アミノ酸やヌクレオチドなどいくつかの分子の同化に必要な、葉酸依存性代謝経路の1つ。葉酸が一炭素基の※担体の役割を果たし、※ドナー分子から一炭素基の除去と移送を促進する。一炭素基の輸送に利用される分子には、次の3種類がある
①テトラヒドロ葉酸(葉酸誘導体でいくつかの酵素のコファクターとして機能する)
②s-アデノシルメチオニン(SAM、メチル基の供与体)
③ビタミンB12(メチル化と炭素再構成反応の補酵素)
アミノ酸とヌクレオチド合成における役割の他に、この経路の代謝物であるSAMは共通のメチル基供与体として機能するため、DNAやヒストンのメチル化制御にも重要である。
※担体
吸着や触媒活性を示し、他の物質を固定する土台となる物質
※ドナー分子
電子を放出しやすい性質を持つ分子
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