2021.07.03ブログ
第42回 糖代謝① 解糖系と糖新生
食事で摂取された糖質(多糖類、オリゴ糖など)は、消化管で消化酵素によりそれぞれの構成単糖に分解。小腸粘膜から吸収される。吸収された単糖類は、門脈を経由して肝臓に運ばれ、解糖系へと入る。
解糖系は別名Embden-Meyerhof経路(エムデン–マイヤーホフ経路)とも呼ばれ、細胞質内において、グルコースをヘキソキナーゼによりグルコース -6- リン酸とし、ピルビン酸または乳酸を生じる過程をいう。解糖系の反応には酸素が必要なく嫌気的条件にてアデノシン三リン酸(ATP)を産生できるという特徴を持つ。
ちなみに、グルコース、ピルビン酸を除くすべての中間代謝産物は、リン酸化合物でもある。解糖系では基質レベルのリン酸化により、グルコース 1 分子あたり 2ATP が生成される。
※嫌気的条件と好気的条件
嫌気的条件は酸素がない状態、好気的条件とは酸素がある状態をそれぞれ指す。グルコースからピルビン酸が生成する反応は、酸素の有無に関わらず進む。ピルビン酸は嫌気的条件下で乳酸となり、好気的条件下ではアセチル CoAを経て、クエン酸回路へと進む。
1)解糖系の反応
1−1)エネルギー産生の準備反応
グルコースはグルコース輸送隊(GLUT)により、細胞内に取り込まれ、速やかにリン酸エステル反応を受け、グルコース 6-リン酸となる。グルコース 6-リン酸はフルクトース 6-リン酸に異化し、再度リン酸化を受けてフルクトース 1.6-ビスリン酸となる。
ここまで、6単糖(C6)構造で以降するが、次の反応で2個のC3化合物・グリセリンアルデヒド 3-リン酸に分解される。この準備反応で、グルコース1分子あたり2分子のATPが消費される。
1−2)解糖系でのエネルギー産生
グリセリンアルデヒド 3-リン酸はデヒドロゲナーゼによる酸化反応を受け、1.3-ビスホスホグリセリン酸となる。1.3-ビスホスホグリセリン酸は酸化反応で余ったエネルギーを、高エネルギーリン酸結合に利用。高エネルギー結合からATPを合成し、低エネルギー化合物である3-ホスホグリセリン酸を生成する。
ここからさらに反応は続き、再び高エネルギーのホスホエノールピルビン酸が作られ、ピルビン酸に代謝される過程でATPがさらに1分子生成される。
つまり、グルコース1分子あたりで準備反応に2分子のATPを消費し、続く代謝過程で4分子のATPが生成。全体のサイクルから、1分子のグルコースで2分子のATPが作られていることが伺える。
そして、2分子のピルビン酸がアセチルCoAに代謝され、クエン酸回路(TCAサイクル)に取り込まれる。その後完全に酸化され、28分子のATPが得られる。
1−3)解糖系の優位性
グルコースの代謝で得られるATPのうち、解糖系で生成されるものは、クエン酸回路のわずか1/15に過ぎない。しかし、解糖系は嫌気条件=酸素を必要としない反応であり、かつ迅速にATPを供給可能という特徴を持つ。速筋(白筋)線維は瞬間的な力を生み出す際、解糖系によってのみATPを得られる。
また赤血球・リンパ球のようなミトコンドリアを持たない細胞は、ATPの獲得において解糖系に依存している。
さらに、通常時は脂肪酸をエネルギーとして代謝する心筋も、低酸素などの環境下に置かれた場合、低酸素誘導因子(HIF)のはたらきにより、解糖系が活性化されるという。
2)糖新生
速筋線維内において、解糖系が生成したすべてのピルビン酸を、クエン酸回路で処理することはできない。先ほど紹介した赤血球・リンパ球のように、ミトコンドリアを持たない細胞も同様に、細胞内でピルビン酸を代謝することは不可能である。これらから生まれら余剰のピルビン酸からは乳酸やアラニンが生成され、血液中に放出。
肝臓に取り込まれ、再びグルコースに代謝される。このグルコースの再利用の代謝を「糖新生」と呼ぶ。
2−1)解糖系・糖新生のバランス調節
解糖系のもっとも重要な制御因子であるホスホフルクトキナーゼは、ATPで不活化され、アデノシン一リン酸(AMP)で活性化される。
解糖系の最終段階を触媒するピルビン酸キナーゼは、ATP、アラニンで不活化される。一方ピルビン酸からはじまる糖新生の初期段階を司るピルビン酸カルボキシラーゼは、アセチルCoAによって活性化される。そして糖新生の最終段階を司るフルクトース 1.6-ビスホスファターゼは、AMPで阻害されクエン酸で活性化されるのである。
細胞内にエネルギーが不足していると解糖系が、充足されている状態では糖新生が活性化されるという、相互バランスが成り立っている。そのため、1つの細胞内で解糖系・糖新生が同時に活性化されることはない。
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