2021.08.21ブログ
第49回 脳グリコーゲンとパフォーマンスへの影響
(1)概要
筋・肝臓以外に、脳も※アストロサイトにグリコーゲンを貯蔵・貯蔵している。脳グリコーゲンは神経活動に反応し、乳酸に分解。MCT(モノカルボン酸トランスポーター)を介してニューロンへ運送される。(これを「アストロサイト–ニューロン乳酸シャトル」と呼ぶ)。
※アストロサイト
中枢神経系に存在するグリア細胞(神経膠細胞、神経系を構成する神経細胞ではない細胞の総称)の1つ。
脳グリコーゲンは、血液からのエネルギー供給が不足した際に、脳を保護するという非常に重要な役割があるとされる。
1)脳のエネルギー源としての「乳酸」
脳のエネルギー源として一般に知られているのはグルコースであるが、コペンハーゲン大学の研究で、運動時における血中乳酸濃度動静脈較差を分析したところ、血中乳酸が増加する高強度運動時において、脳はグルコースよりも乳酸を優先的に取り込んでいたという。
2)ニューロン–アストロサイト乳酸シャトル
MCTを介したニューロンのエネルギー輸送のメカニズムであり、1994年に提唱された。ニューロンが活性化することでアストロサイト内で乳酸が産生。乳酸はMCT1を介して細胞外液に放出され、MCTを介してニューロンが取り込む。その後、好気的解糖により、乳酸が利用されるというのが一連の流れである。
(2)認知機能向上
鈴木ら(2011)は、ラットを用いてアストロサイトにおけるグリコーゲン分解系が記憶の形成に影響をあたえるかどうかを実験。それにより、アストロサイトにおけるグリコーゲンの分解系は、短期記憶の形成には必要とされない一方で、多くのエネルギーを必要とする長期記憶の形成には、グリコーゲン分解系が必須だということが判明した。
また、グリコーゲン分解系によって産生されたどの基質が長期記憶の形成に関与しているかを調査したところ、アストロサイトからのグリコーゲンに由来する乳酸の放出が、長期記憶の形成に深く関わっていると報告している。
鈴木らは「アストロサイト–ニューロン乳酸シャトル説」をもとに、複数種類あるMCTの発現抑制による記憶形成への影響を調査。それにより、アストロサイト–ニューロンへの乳酸輸送が、長期記憶の形成に必須であることが報告された。
(3)パフォーマンスとの関連
筋グリコーゲンの枯渇、低血糖を引き起こしやすい長時間に渡る運動は、脳グリコーゲンの減少も引き起こす。脳グリコーゲンが減少すると、中枢疲労の要因のひとつである脳内セロトニンの増加とも関連し、そのまま運動時の中枢疲労要因にもつながるとされている。
運動によってグリコーゲンは減少するが、その後運動以前よりも高い水準まで回復する=超回復が認められている。これは骨格筋において一般的に知られているが、脳グリコーゲンも同様の超回復が生じていることが分かっている。
古くより、筋グリコーゲン量の増加は、持久性運動パフォーマンスを高めることが指摘されている。加えて、近年持久性の能力は認知機能と相関するという研究が複数報告されている。こうした複数の相関関係により、脳(とくに海馬)のグリコーゲン量は、認知機能のみならず、持久性運動のパフォーマンス維持・向上にも重要であるとされた。
1)ラットの長時間運動の研究
高エネルギーマイクロ波(HMW)の導入により、脳グリコーゲンの正確な定量を行った所、脳グリコーゲンが低血糖や急な神経活動の増加によって、分解・利用されていることが明らかとなっている。
乳酸閾値以上の中強度の運動を長時間続けると、脳全体の神経活動が像会する。上記の変化も踏まえると、脳グリコーゲンは運動時に脳のエネルギー基質として、分解・利用される可能性が
松井(2010-2011)は研究にて、ラットに対してLT強度付近の運動を行わせた後にHMWにより屠殺。その後ラットの血糖値および脳、筋、肝臓を採取、グリコーゲンを計量した。血糖値は、運動直後の糖質摂取ですぐに回復。筋グリコーゲン、肝グリコーゲンも運動後の糖質摂取で、24時間後に超回復した。なお、グリコーゲン量(血糖値)は継続時間に依存して減少したという。
しかし、脳グリコーゲンGLYは運動中盤まで変化せず、低血糖が起こり始める運動後120分でのみ、運動に関連する部位(海馬や視床下部など)で減少が見られた。しかし、運動直後に糖質を摂取せずとも、約20%の超回復が見られた。
4週間行われたトレーニングの継続により、筋グリコーゲンのみならず脳グリコーゲンの貯蔵量増加も確認できたという。超回復を活用したトレーニングの継続は、脳グリコーゲンの貯蔵量増加が期待でき、それにより持久性・認知機能の向上にもつながるという示唆が得られた。
(4)海馬グリコーゲンローディング
試合6日前(手法によって日にちは異なる)より行われる筋グリコーゲンローディングは、マラソン、トライアスロン等持久系のスポーツにおいて、試合前にグリコーゲン貯蔵量を高めるための手法としてよく用いられる。
ラットに対して行われた筋グリコーゲンローディングの研究では、持久性運動の向上に加え、認知機能の向上も見られた。この研究結果により、脳、とくに海馬に対するグリコーゲン貯蔵「海馬グリコーゲンローディング」が、スポーツ時のパフォーマンス維持・向上を期待できる手法であることが示唆された。
実際に海馬グリコーゲン量を高める条件として、同じくラットに対する実験で次のような知見が得られている。
海馬グリコーゲンの条件の考察
・高糖質食は必須ではない
・ローディング中の運動が不可欠。特にローディング初日の持久性の高い運動が有効とされている。
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