2021.09.18ブログ
第51回 アスリートに有効なたんぱく質(アミノ酸)の摂取タイミング、1回あたりの摂取量
(1)タイミング
1)運動後
運動直後と運動3時間後でのたんぱく質(アミノ酸)摂取では、前者のほうがネットバランス(組織の合成・分解の差)の改善に友好とされている。一方で、運動中は筋肉への血流量が増加→内蔵への血流量が低下するため、消化管の機能が低下する。運動後は虚血状態→血流循環の発生で消化管に負担がかかる。そのため運動後すぐのたんぱく質摂取は、消化管への負担が大きく、消化吸収速度が低下するという課題があるという研究もある。
そのため、運動直後のタイミングでのたんぱく質摂取は、消化管への負担が少ないアミノ酸での摂取が望ましいと考えられる。
2)運動前
運動前と運動後のたんぱく質摂取の有効性については、複数の研究が行われている。
・運動直前、直後で炭水化物を含む必須アミノ酸混合物を摂取した場合、直前の方が筋たんぱく質合成量が高かった
・運動1時間前に炭水化物を含む必須アミノ酸混合物を摂取した場合、運動後の筋たんぱく質合成には影響がなかった
・10週間のトレーニング期間で運動前にたんぱく質を摂取した場合と、運動後にたんぱく質を摂取した場合で比較したが、有意な差は見られなかった。
しかし、運動直前のたんぱく質摂取は、運動後の内蔵への負担が増大してしまう。筋たんぱく質合成という目的では、運動後の摂取が有効と言えるだろう。
3)運動前・運動中のBCAA摂取の有用性
BCAAは、分岐鎖アミノ酸アミノ基転移酵素により、アミノ基が外れ分岐鎖α-ケト酸となり、分岐鎖α-ケト酸脱水酵素(BCKDH)により、CoAと結合。クエン酸サイクルや糖新生へと導かれる。BCAA分解の※律速酵素であるBCKDHは、運動によって活性化される。
※律速酵素
一連の反応が酵素によって触媒される場合、その一連の反応の中で最も酵素活性量が少なく、かつ全体の速さを決めている反応の触媒となる酵素
ある研究では、運動負荷の20分前に77mg/kgのBCAAを投入。運動中の最房内・動脈血中のBCAA濃度が上昇し、筋からの必須アミノ酸放出を低減したという。これと同様の結果は、最大酸素摂取量の約70%でエルゴメーターをこぐ場合、運動15分前、直前、15分後、30分後、45分後、60分後、90分後のそれぞれで100mg/kgのBCAAを投与した場合でも見られた。
筋たんぱく質合成という観点以上に、運動中の筋たんぱく質分解抑制という点で、BCAAは大きな効果を発揮するという結果になったのである。
4)高齢者への研究結果
水野らが行った研究では、平均年齢74歳の男性13名を対象に、筋力トレーニングの運動直後と運動2時間後の2グループで、高たんぱく質の栄養を摂取するという調査を12週間実施。
運動直後摂取群は、大腿外側広筋の筋線維1本あたりの平均横断面積が24%増加、大腿四頭筋の横断面積の7%増加したという。また、等速性膝伸展筋力も15%向上していた。2時間後摂取群では、各項目の変化が見られなかったという。
また、水野らは61歳〜85歳の高齢者9名を対象に、50%Maxの軽強度の自転車運動中に、高たんぱく質摂取を行ったところ、軽強度運動では筋たんぱく質の分解が誘導されるなか、高たんぱく質摂取が分解を抑制した。また同時に、軽強度運動でのたんぱく質摂取は、細胞性免疫指標の改善効果が期待できるという結果が得られた。
5)膝十字靭帯損傷患者への研究結果
水野らは同様に、膝十字靭帯損傷患者の青年26名を対象として、上記と類似した研究を実施。結果も、高齢者のものと同様だったという。アスリートのみならず高齢者や傷病患者に対しても、筋力トレーニングの効果をより高めるには、運動直後のたんぱく質摂取が重要であると言える。
(2)摂取の頻度
1)1回あたりの摂取量
下肢のトレーニング後、卵たんぱく質を5g、10g、20g、40gそれぞれで摂取した研究では、20gまでは用量に応じて筋たんぱく質合成が高まったが、20gと40gでは差が見られなかった。一方で、上半身を含む全身のレジスタンストレーニングでは、40gを摂取した群のほうが、筋たんぱく質の合成効果は高かった。
2つの研究は、運動時の強度、動員した筋肉の量で必要量が変わることを示唆しているが、体重によるたんぱく質の摂取量は考慮されていない。こうした研究をまとめた報告では、1回あたり0.31g/kgのたんぱく質摂取が、筋たんぱく質合成を最大化できるとされている(なお、これらの研究は欧米人で75~100kg程度を被験者にしている)。
2)1日あたりの摂取回数
レジスタンストレーニング後、12時間で80gのたんぱく質を摂取した場合、何回に分けて摂取すると筋たんぱく質合成を最大化できるかを検討した研究がある。ここでは、以下の3パターンで検証したところ、②のパターンで筋たんぱく質合成が最大化されたという。
①6時間おきに40gを2回摂取
②3時間ごとに20gを4回摂取
③1.5時間ごとに10gを8回摂取
また、別の研究では1日3食で均等にたんぱく質を摂取した場合と、朝<昼<夜でたんぱく質量を増やして摂取した場合を比較(総量はどちらも約90g)。その結果、均等に食べたほうが効果が高かったという。
日本人も欧米人も、朝のたんぱく質摂取量は基準を下回る事が多い。身体作りという観点では、朝からしっかりとたんぱく質を摂取することが望ましいと言える。
3)タイミングよりも「総摂取量」のほうが重要?
こうした研究に対して、反論も多い。運動前後や朝昼夜、回数の多寡による筋たんぱく質合成の効果は、変化がないという報告も多いからだ。頻度や1回あたりの摂取量より、1日あたりの総たんぱく摂取量の影響の方が重要であるという研究もある。年齢、性別、既往歴、運動内容等の要因でも筋たんぱく質合成は左右されるため、1日あたりの総摂取量を調整しつつ、頻度や1回あたりの摂取量を調整することが望ましい。
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