2021.10.23ブログ
第56回 カルシウムとアスリート
(1)概要
成人の体内に約1㎏存在すると言われるカルシウムは、約99%が骨や歯に分布し、残り1%が血液中、細胞内に存在すると言われている。血液中のカルシウムは、大きく3分類の形で存在している。
①イオン化カルシウム
血中カルシウムの約50%が該当し、生理的な活性を有する形態として存在。
②血漿たんぱく質(アルブミンなど)に結合
約40%が該当。
③リン酸、クエン酸等との複合体を形成
約10%が該当
1)作用
主に骨・歯の材料となる以外にも、カルシウムには様々な作用がある。
・骨や歯の材料
・自律神経の安定
・筋肉(平滑筋を含む)の収縮
・体内のイオンバランスを正常値に維持
・体内の浸透圧を一定に保つ
・血液凝固促進作用
・心筋の機能を正常に保つ
・抗アレルギー作用
2)カルシウムパラドックス
カルシウムが慢性的に不足すると、副甲状腺ホルモンが常に分泌され、骨から過剰にカルシウムが送り出される。余分なカルシウムは血管や脳、軟骨など、カルシウムが通常存在しない場所に入り込み、蓄積されてしまう。これを「カルシウム・パラドックス」と呼び、腎臓結石、胆のう欠席、動脈硬化、アルツハイマー型認知症などを誘発すると言われている。
(2)運動におけるカルシウムの代謝
アスリートは通常、一般人よりも高い負荷の運動を行っていることから、運動時における骨折等のリスクが懸念される。さらに一部研究では、運動と骨密度低下との関連が報告されている。実際に『Nutrition and Athlete Bone Health』の記事では、長時間の運動を行うと骨密度を測る指標でもある骨塩量(骨の中に含まれるミネラル分の量)が低下した。
運動に伴う骨密度低下のメカニズムとして、現在考えられているのは以下の通りだ。
①結成カルシウムレベルの低下に伴う、骨吸収の刺激因子である副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌亢進(骨吸収の増加)
②Energy availability (利用可能エネルギー)による骨分解
③性ホルモン低下
④ストレスホルモン、炎症性サイトカインの増加 など
Haakonssenらは、90分の運動の2時間前に乳製品を豊富に含む食事の摂取を選手らに指示。すると、血清カルシウム濃度の恒常性が維持され、PTHも増加しなかった。
(3)適切なカルシウムの摂取量
国内外を通じてアスリートにカルシウムの不足が報告される事例は少なくない。鈴木はフィギュアスケート選手に対して、栄養摂取状況・身体状況・生活リズム調査,食生活およびトレーニング等に関するアンケート調査を実施。その結果、全体の平均値を見ると摂取エネルギー、カルシウム、鉄が共通して不足傾向にあったという。
また、オーストラリアの女子フットボールリーグ「Australian football league women’s (AFLW) 」がの傘下選手23名を調査したところ、選手の大多数が炭水化物、鉄、カルシウムの摂取推奨量を満たしていないことが明らかとされた。
厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」にて、成人1人1日当たりの推奨量を、男性で700mgから800mg、女性で650mgと設定している。Energy availabilityが懸念されるアスリートに対しては、1日あたり1,500mgのカルシウム摂取を推奨する研究もある。
現状、必要以上のカルシウム補給が、アスリートのパフォーマンスアップに寄与するという報告は見られていない。どちらかというと、運動で体内のカルシウムが減り、パフォーマンスや健康に悪影響が生じる事態を心配したほうがいいだろう。特に夏場など、発汗が多いとその傾向はさらに強くなる。スポーツを行う場合、運動前の乳製品の摂取を促してもいいかもしれない。乳糖不耐性が心配される方は、運動まで時間があるのなら、大豆類、小魚、青菜などの摂取を推奨(水分補給も同時に行うこと)。
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