2021.11.13ブログ
第59回 ビタミンDとパフォーマンスへの影響
(1)ビタミンDの働き
ビタミンDの代表的な役割として、腸管・腎臓でのカルシウム、リンの吸収を促進し、骨形成・成長を促すというものである。実際に、一般やアスリートを対象とした研究でも、ビタミンDの摂取量と骨密度、骨折との関連を調べたものが多い。ビタミンDの欠乏は、骨の軟化・弱化をもたらし、骨粗鬆症やくる病といった症状の発症リスクが高まる。
1)筋細胞への影響
近年、骨格筋細胞にビタミンD受容体(VDR)が発見されている。VDRを欠損したマウスによる実験では、除脂肪体重の減少、自発的な車輪走行距離の減少、平均走行速度の減少、握力の減少など、様々な運動量・能力の減少が見られたという。
運動量・除脂肪体重減少に伴い、マウスの脂肪量は13%→20%と増加した。こうした結果から、ビタミンDが骨格筋細胞の機能調整に働いていることが示唆されている。
(2)ビタミンD不足の問題
世界各国の研究で、アスリートのビタミンD不足が問題視されている。プロフットボールリーグ(NFL)のチーム、ピッツバーグ・スティーラーズを対象とした研究で、1か所以上の骨折が確認された選手は、ビタミンD量が非常に少なかったということが、2015年発行の米スポーツ医学誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン」で発表されている。
また、28名のプロサッカー選手を対象に冬季のビタミンDレベルを検査。ビタミンD欠乏がみられた選手では、有病率と高い相関が見られたという。その後、2週間ごと(計8週間)でビタミンDを摂取させたところ、体内ビタミンDレベルの目安として用いられる血中25(OH)ビタミンD濃度の上昇が見られた。しかし、それがスポーツ選手にとって十分なビタミンDレベルに達してはいなかったとしている。
1)一般人とビタミンD欠乏との関連
ビタミンD欠乏は、当然一般人とも関連が深い。英トリニティ・カレッジ (ダブリン大学)の研究では、英国縦断加齢研究(ELSA)から平均年齢69.8歳の4,157名のデータを解析。ビタミンD欠乏と判断された高齢者のうち、40.4%で筋力およびパフォーマンスの低下が見られた。生涯スポーツ、健康寿命の観点からも、ビタミンD欠乏は深刻な問題であることが分かる。
(3)摂取量の目安の改定
ビタミンDの摂取方法としては、食事による摂取と日光の紫外線による生成の2種類が挙げられる。前者の場合、キノコ類に含まれるビタミンD2(エルゴカルシフェロール)か魚肉・魚類肝臓に含まれるビタミンD3(コレカルシフェロール)が該当する。
後者の場合、ヒトを含む哺乳類動物は、日光の紫外線を皮膚が浴びる(日照暴露)ことで、ビタミンD3を生成する。ビタミンD2、D3は現時点で分子量もほぼ等しく、体内での代謝も同様に行われるとされている。
日本では、成人(18歳以上)のビタミンD摂取量の目安は、男女ともに5.5μg(耐用上限量は100μg)と定められていた。仮に日照暴露で5.5μgのビタミンDを産生する場合、たとえばつくば(北緯36°)の日中では3.5分、日光を浴びる必要がある。
(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書)
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、このビタミンD摂取量の目安が、5.5μgから8.5μgへと大きく増えている。またこの数値は、あくまでビタミンD欠乏による骨密度低下・骨折といったリスクを予防するために必要な量であるため、アスリートや運動習慣のあるクライアントに対しては、それ以上の摂取を想定した指導を考えるべきだろう。
1)過剰摂取の弊害
皮膚によるビタミンD産生は、必要以上に産生しないよう調節機能がある。一方で、サプリメント、食事等でビタミンDを過剰摂取すると、高カルシウム血漿、腎機能障害、軟組織の石灰化が起こると考えられている。
1)サプリメントの有用性
一部研究では、食事によるビタミンD摂取だけでは、パフォーマンス向上に不十分とする意見がある。十分なビタミンDレベルを確保するには、1日あたり4,000~10,000IU(100~250μg)の高用量を、数カ月続ける必要があるとされる。極端な摂取事例(1日あたり100,000UI=2,500μg)を除けば、過剰摂取による高カルシウム血症などのリスクはそれほど高くないという意見が見られた。
健康面に十分注意する必要があるものの、パフォーマンスや体調に不安があるクライアントに対して、一時的にサプリメント等を活用したビタミンDno高用量摂取をしたのち、耐用上限量範囲内を目安に、一般よりも多い量のビタミンDを摂取するように進めるといった食事プランも、検討に値するだろう。
#FUJIIパーソナルジム #杉並区 #方南町 #駅近 #筋トレ #ダイエット #パーソナルトレーニング #ボディメイク #健康 #美尻 #体験トレーニング #FITFOODHOME #@fitfood_home
Category
New Article
Archive
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年4月