2021.11.27ブログ
第61回 疲労と低胃酸の関係性
疲労と聞くと、体力低下、筋疲労、栄養不足、内臓疲労、脳疲労、睡眠不足などさまざまな原因が思い浮かぶ。しかし、その原因のひとつとして「低胃酸」が考えられるケースもある。
(1)現代人は胃酸が多い?少ない?
仕事や人間関係のストレスで、胃がキリキリする。こうした話はよく耳にする。そのため、現代人は胃酸が多いと考えられやすい。これは事実であるが、厳密にいうと「空腹時の胃酸が多い」ことが原因とされている。
この「胃酸が多い」状態というのは、胃の内壁を守るための粘液と胃酸のバランスが崩れ、胃酸過多であることを指す。
【胃はなぜ胃酸で溶けないのか】
胃酸は非常に強力な溶解液であり、殺菌力も非常に高い。そんな胃酸から胃を守っているのが、胃の内壁に数mmという非常に薄く付着する胃粘液だ。食道にはこうした粘液が強く作用しないため、胃酸の逆流によって生じる逆流性食道炎の問題は無視できない。
胃粘液が少なくなれば、胃にダメージが生じてしまう。ダメージを与える存在として有名なのが、ストレス、アルコール、医薬品などである。
今回のケースで問題視されるのは「栄養の吸収時に必要な胃酸が足りず、しっかり食べているのにも関わらず、分解・消化の過程がスムーズに行われず、疲労が蓄積していく」ことである。
(2)低胃酸で生じる問題と原因
現代人は空腹時に胃酸過多の傾向にあるが、食物を分解する際は、むしろ低胃酸のほうが多い傾向にある。以下にあげる栄養素は、胃酸によってイオン化、低分子化されないと、その後の消化・吸収に悪影響を及ぼすとされる。
・たんぱく質(アミノ酸)
・亜鉛
・鉄
・マグネシウム
・カルシウム
・ビタミンB12
・葉酸
・βカロテン
1)低胃酸のチェック方法
低胃酸かどうかを確認する方法として、重曹(ベーキングパウダー)を用いたものがある。
①重曹小さじ1/3杯を100mlの冷水に溶かした重曹水を用意する。
②重曹水を飲み、5分以内にげっぷが出れば胃酸は正常とされる。
もうひとつの判断基準として、血液検査で赤血球の体積(MCV)が92より大きい場合、ビタミンB12もしくは葉酸が欠乏している可能性が疑われる。両者は先ほど紹介した、胃酸があることでスムーズな分解・消化・吸収がなされる栄養素に該当する。そのため、MCVが間接的な低胃酸の指標となりうるのである。
これは貧血でサプリメントなどを服用しても、症状が改善されない人にも適用できる。亜鉛、鉄が低胃酸で消化・吸収が阻害されていることが原因かもしれない。
1-1)ペプシノーゲン検査
ペプシノーゲン検査とは、胃粘膜で生成される、消化酵素ペプシンの抗生物質であるペプシノゲンの産出量を足底する検査である。血液検査で行われる検査だが、その基準値は以下に定められる。
ペプシノーゲンⅠ値が70.1ng/ml以上 または Ⅰ/Ⅱ比が3.1以上
・ペプシノーゲンⅠ
主に胃底腺主細胞(胃の下半分や胃底部や胃体部)から分泌
・ペプシノーゲンⅡ
主に胃底線の他噴門線、幽門腺、十二指腸腺など胃全体から分泌
・Ⅰ/Ⅱ比
規定値未満だと、萎縮性胃炎が疑われる。ペプシノーゲンⅠ、Ⅱの値は関係なく、原因として「ピロリ菌の感染」を疑う。
(3)栄養学的なアプローチ
1)積極的に摂取したい栄養素・食物
①ナイアシン
酸性であるナイアシンが、胃の酸度を増加させる(胃酸過多の場合は、過剰摂取で胃痛、吐き気、下痢を起こすので注意が必要)
②ビタミンB1
食欲を正常に保ち胃酸の分泌を高める。
③亜鉛
ヒトは、胃酸のもととなる塩酸を塩(塩化ナトリウム)を分解して生成する。その過程で働く酵素を、亜鉛が活性化させる。
④アミノ酸
胃酸の形成に必要。
⑤消化の良い食物全般
胃酸、胃粘液、消化酵素等の大量な分泌量増加による、胃へのダメージが少ない。ちなみに、健康的な食事のひとつとして「塩分を控え目にする」というものがあるが、胃酸形成には一定の塩分が必要である。無塩・減塩を徹底しすぎると、かえって胃酸分泌が阻害されてしまうので注意が必要だ。
食事で胃酸や唾液の分泌を促すものとして、次の食材が挙げられる。
・酢の物
・パセリ
・ミントの葉
・ショウガ
・レモン 等
これらを食前に摂取することが推奨される。
2)低胃酸を誘発する危険性のあるもの
低胃酸につながりやすいものとして、以下のものが挙げられる。
①ピロリ菌
胃の粘膜に存在する細菌で、胃の炎症を誘発する。無症状の人が大半だが、多いと胃酸のコントロールが難しくなるとされる。
②胃薬
体内で低下している働きを薬で補うという行為が日常化すると(プラシーボ効果なども働いて)、薬の飲まないと身体本来の機能が発揮されなくなるというケースはよく見られる(便秘薬を飲まないとお通じが出ないなど)
鶏が先か卵が先かの水掛け論になりがちだが、基本的に「変なものを摂らず、食事内容と水分摂取量を変える」ことを意識することで、慢性的な体調不良が改善することは非常に多い。胃薬も一時的な服用は別として、あまり頼りすぎないようにすることも重要である。
③精製糖質
消化吸収に負担が多い。
④冷たい飲み物
胃の萎縮を誘発する。
⑤ストレス過多
ストレスにより胃酸は増加すると冒頭で述べたが、反動で食事の際に胃酸が減少しがち。
⑦脂っこいもの等
大量な胃液が必要で、胃への負担が大きい。
⑧アルコール等
胃粘液に悪影響を及ぼす。
3)子供時代に有効なアプローチ
幼少期から親の調理を子供に見せることが、低胃酸予防・改善につながると言われている。食べ物の香り、見た目、調理の音といった情報・経験が重ねられることで、自然と唾液・胃液が分泌されるようになる。文献によっては、食事前の情報・経験が胃酸分泌の50%を占めることもあるとされている。
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