2021.12.04ブログ
第62回 亜鉛の栄養学
前回の記事にて、低胃酸の改善の手段として栄養素について解説した際、そのひとつとして「亜鉛」を取り上げた。亜鉛は「アトピー性皮膚炎の改善」でもよく取りざたされるミネラルだが、今回はより詳しく栄養解説をしていきたい。
(1)亜鉛概要
生体では鉄の次に多い必須微量元素で、体重70kgのヒトに平均2.3g含まれる。生物学的半減期は280日とする報告がある。100種類を超える酵素の活性に関与し、主に酵素の構造形成および維持に必須である。それらの酵素の生理的役割は、免疫機構の補助、創傷治癒、精子形成、味覚感知、胎発生、小児の成長など多岐にわたる。炭酸脱水酵素が最も重要だと思われる。そのほか、加水分解酵素の活性に関わり、DNAやRNAのリン酸エステルを加水分解によって切断するので細胞分裂に大きく関わる。
(wikipediaより引用)
亜鉛は通称「セックスミネラル」とも呼ばれており、特に男性生殖器の機能を正常化・活性化させるのに重要なミネラルとして知られる。そのほか、亜鉛は味覚(味蕾細胞)の形成、酵素の生成、免疫強化、神経系への働きかけなど、幅広い生命維持活動に関わっている。同時に、亜鉛は国内外を問わず、多くの人々に不足している栄養素とも言われている。
1)亜鉛欠乏と不妊との関連
日本では、年々不妊治療の数は増加傾向にある(表は厚生労働省資料を引用)
複数の研究では男性の精子の数が、以前よりも少なくなっていると報告されている。一般的に、健常男性は精液1ccあたりに精子は約1億個いるとされている。精子の数が2,000万個を下回ると不妊になると言われているなか、現代男性は2,500万~6,000万個/ccほどが多いとされる。この数値は、約50年前の男性と比較して約半分程度とする報告もある。
原因はいくつも考えられる。座りっぱなしの生活習慣、運動不足、食習慣…。栄養学的側面から考えた場合、その原因として非常に有力なのが、亜鉛欠乏といえる。亜鉛は生殖器官の維持に働く。具体的にいうと、テストステロンの活性化や、前立腺の健康維持にも働く。
男性ホルモンのテストステロンは、筋合成にも必須。実際に亜鉛欠乏とみられる人を調査したところ、テストステロン減少が有意で見られたという研究もある。トレーニーにとっても、亜鉛は重要な栄養素だ。
2)亜鉛と体内酵素との関係
亜鉛は、体内の約3,000種類以上のたんぱく質、そして1,000種類以上の酵素に関与しているとされる。さらに、120以上の酵素の分子構造の構成にも関与している。そのうち、代表的な酵素は次のようなものである。
①アルコールデヒドロゲナーゼ
ビタミンA、アルデヒド(揚げ物等にふくまれる発がん性物質)、アルコールを分解する。
②SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)
活性酸素の除去、免疫機能強化に働く。
③メタロチオネイン
体内に侵入した金属などの毒性を、発現しにくくする。
3)体内への吸収
亜鉛の吸収を促進するものは、たんぱく質全般である。亜鉛は魚介類、肉類、豆類などに含まれるため、食品で摂取するよう心がければ、自然と消化吸収を促進できる。
一方で、亜鉛の吸収を阻害する要素として、フィチン酸(玄米などに含まれる)、結着剤(肉同士をくっつけたり、水分が流出しないようにする)、ポリリン酸ナトリウム(歯磨き粉などに含まれる)、増粘剤などが挙げられる。加工品はあまり食べないほうがいいが、唯一フィチン酸については、健康的な食生活を送る人も注意したい。玄米には多くの栄養素が含まれているため、食べる量・バランスを意識することが大事である。
4)ほかにも報告されている亜鉛の健康効果
臨床実験によって、亜鉛の効果・効能として次のものが報告されている。
・下痢
・気道感染症
・結核
・アトピー性皮膚炎
・糖尿病
・肝炎
重大な病状から慢性的な症状など、多くの症状が亜鉛で改善されるという報告が多いことがうかがえる。これは、むしろ現在多くの人々が亜鉛欠乏であるため、近因的、遠因的にこれらの症状を抱えているともいえるだろう。
(2)体内の亜鉛
個人差もあるが、亜鉛は体内に約2g存在する。そのうち、約60%は筋肉に、約30%は骨にある。食事などで取り込まれた亜鉛は、十二指腸や空腸で吸収される。食事による吸収率は、約30%と言われている(水素化されたものの吸収率は、約70%と言われる)。それ以外では、前立腺、腎臓、肝臓にも多く見られる。
またリンパ球の分化・成長は胸腺ホルモンによって促されるが、亜鉛は※胸腺ホルモンの活性作用がある。亜鉛は間接的に、体内の免疫機能の維持・活性化に働いている。
※胸腺
胸腔内に存在し、胸骨の背部、心臓の前に位置する。T細胞の分化や成熟に関与する、一次リンパ器官。一次リンパ器官は、胸腺と骨髄の2つである。
1)加齢によって著しく低下する
体内にある亜鉛の量は、加齢での減少幅が顕著だ。70、80代の亜鉛量と10、20代の亜鉛量には、約600倍もの開きがあると言われている。働き盛りともいえる30代以降は、特に食事・サプリメントで積極的に亜鉛を摂取し、亜鉛の減少(とそれに伴う体調不良、体内の機能低下)に抗することが重要だ。
(3)亜鉛の摂取
亜鉛の摂取量の目安は、年齢に応じて異なる(表は厚生労働省より引用)
成人の推奨摂取量として、15mg~30mg/日とする考えも多い。一方で、亜鉛ばかりを過剰に摂取しすぎると、鉄の体内への吸収率が低下するという研究がある。亜鉛摂取量の耐容上限量は成人男性で40mg/日(30~69歳は45mg/日)、女性で35mg/日なので、それを超えない範囲での摂取を心掛けたい。
とはいえ、食事によって亜鉛の過剰摂取を引き起こす危険性は非常に低い。サプリメントの過剰摂取などに注意すればいいだろう
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