2022.01.29ブログ
第69回 アスタキサンチン(2)作用と摂取量
アスタキサンチンは天然成分・カロテノイドの一種で、そのうち赤色の色素である(赤身肉の色味は鉄分が影響しているものであり、必ずしも赤い食物=アスタキサンチンが豊富というわけではない)。前回の記事ではその高い抗酸化力の秘密について紹介した。
今回は、そんなアスタキサンチンの体内での作用の詳細、推奨される摂取量等について紹介していきたい。
(1)細胞膜の老化抑制
アスタキサンチンは細胞膜に存在するとされている。アスタキサンチンは食物中のたんぱく質と結合している状態で摂取されるが、その後アスタキサンチンは消化吸収の過程で細胞膜に取り込まれ、細胞膜を構成する脂質の酸化抑制作用に働く。
この「細胞膜の酸化」がポイントだ。細胞膜しかりミトコンドリアの外膜しかり、非常に酸化しやすいという特徴を持っている。現代社会においては、酸化=老化というイメージがだいぶ浸透しているが、いわばアスタキサンチンは細胞膜等を老化から守ってくれているのである。
前回、高い抗酸化力を持つとしてビタミンE、βカロテンなども紹介した。βカロテンは緑黄色野菜に豊富で、ビタミンEはアーモンドに多く含まれる。特にビタミンEは、生理痛をはじめとした女性特有の悩みに有用な栄養素として知られている。
これらと比べても、細胞膜全体に影響を及ぼすアスタキサンチンの抗酸化力は、全身くまなく作用するという点で群を抜いていると言えるだろう。
(2)作用
アスタキサンチンの主な作用は、ざっと挙げるだけでもこれだけの量がある。
・抗酸化作用
・抗炎症作用(炎症の指標となるTNF-αの減少)
・抗ガン作用
・免疫作用
・眼精疲労
・動脈硬化予防
・シミ、そばかす、しわの予防(コラーゲンの保護)
・血圧の正常化
・肥満予防
・高血糖の予防(糖尿病の指標となるHbA1c-ヘモグロビンA1cの減少)
・高脂血症の予防
・アディポネクチン(長寿ホルモン)の増加
現代人が悩まされている慢性疾患や重篤な症状まで、ありとあらゆる症状にアスタキサンチンが効果を発揮することが分かるだろう。
1)酸化ストレスへの作用
運動やストレスで酸素を多く吸う、紫外線を浴びる、排気ガスを吸ってしまうなど様々な要因で、身体は酸化ストレスを覚える。すると、身体は細胞膜から酸化していくと言われている。細胞膜は脂質で形成されているので、脂質が「過酸化脂質」へと変性。このサイクルが繰り返されることで、いわゆる身体の「サビ(老化)」が進行してしまうのである。アスタキサンチンは、ビタミンEと比較してこうした細胞膜による酸化の進行を抑制する効果が約1,000倍も高かったとする報告がある。
また、酸化したLDL(悪玉コレステロール)は身体へ悪影響を及ぼす。ここで少し補足したいが、世間一般では悪玉コレステロールが大きく誤解されている。LDLはそれ自体、身体に悪影響のある物質ではない。あくまで酸化LDLが身体に悪影響を及ぼすのである。そして、アスタキサンチンを摂取するとLDLの酸化が大きく抑制されたという研究がある。なお、研究ではアスタキサンチンを3.6m/日、合計14日間摂取した調査が元となっている。
これ以外にも、アスタキサンチンを摂取(8mg/日)したことで、血中の酸化代謝物質が減少したという研究も報告されている。アスタキサンチンを一定量・定期的に摂取することで、身体の酸化を抑制できるというのを、多くの研究が物語っていることが分かる。
(3)過剰摂取による副作用
抗酸化作用の高いビタミンE、βカロテンは、過剰摂取をしても短期的に身体へいい影響を及ぼすことが知られている。しかしそれが長期化すると、ビタミンE、βカロテン自体が参加して活性酸素を生み出してしまう。なお、ビタミンEの推奨摂取量は成人で15mg(授乳中の女性は19mg)、βカロテンは19~50歳で男性900µgRAE、女性700µgRAEとされている(摂取量はビタミンAのもの)
アスタキサンチンの場合、過剰摂取によって体内におけるアスタキサンチンの抗酸化力が逓減されてしまうという報告がいくつか見られた。しかしビタミンE、βカロテンのように身体へ悪影響を及ぼす副作用は、現状確認した限りでは発見できなかった。
(4)プロオキシダントになりにくい
両者の違いとしては、抗酸化作用の「発揮のされ方」が要因にあるのではと考えている。ビタミンE、βカロテンは体内で化学的反応を起こし、抗酸化作用を発揮している。それに対して、アスタキサンチンはその優れた構造を用いて、物理的に酸化物質を除去していると考えられている(構造の特徴は前回の記事を参照)
2つの違いだが、化学反応というのは「水素(H2)と酸素(O)が結合して水(H2O)が形成される」という風に、自身の化学的構造も変化することが多い。アスタキサンチンの場合、自身の化学的構造は大きく変容しない=酸化物質になりにくい。酸化物質を除去した後の状態が、アスタキサンチンと他の栄養素で大きく異なるわけである。ちなみに、酸化物質を除去した結果自身が酸化物質になってしまう物質を、酸化促進剤(プロオキシダント)と呼ぶ。つまりアスタキサンチンは、プロオキシダントになりにくいという特徴を持つ。
アスタキサンチンは酸化しにくい特徴を持つわけだが、仮に酸化した場合も「すぐに戻る」という特徴があると言われている。
(5)摂取量
アスタキサンチンの作用について、様々な研究を総合すると病気リスクの低減や予防を目的とするのなら、2~6mg/日のアスタキサンチンを摂取するようにしたい。実際に、前述した様々な健康作用に関する研究では、この摂取量を2~4週間継続した結果が多かったように感じられる。治療を目的とする場合は、6~12mg/日を目安に摂取した研究が多かった(研究によっては、15mg、30mgといった摂取量も見られた)
ちなみに、アスタキサンチン6mgは魚介類だと以下の量を摂取すると満たすことができる。
・鮭切り身(80g) 2.4切れ
・車海老 30尾
・オキアミ 30g
鮭であれば毎日3食に盛り込むこととなるので、意外と大変かもしれない。2~3mg/日であれば、1日どこか1食を工夫する(鮭切り身を食べる、オキアミをふりかけ代わりに食べる等)ことで摂取できるので、まずは自分(あるいはクライアント)のできる範囲で試してみてほしい。
摂取量を増やすという意味で、サプリメントを試すのも一つの手だ。ただし、現時点で過剰摂取による副作用は多く報告されていないとは言いつつも、それは「絶対に副作用がない」とイコールではない点にも注意したい。
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