2022.02.05ブログ
第70回 味噌の健康作用をもう一度見直してみよう
最近では日常的に食べる人も少なくなりつつある「味噌」だが、今も国内外を問わず和食の定番といえる食材として定着している。日本的な食事シーンが描かれているアニメやドラマでも、朝に味噌汁を飲む姿がよく見られる。現在では、納豆や味噌に代表される発酵食品が健康にいいことは、一般常識となりつつある。
とはいえ、「じゃあ味噌っていったいどんな点が健康にいいのか?」というのを、細かく論じることは少ないだろう。今回は、科学的に報告されている味噌の健康効果や、種類による特徴について紹介したい。
(1)抗放射線作用
マウスに対する実験だが、食餌に味噌を混ぜて食べさせたところ、1週間後にマウスにX線照射をしたところ、小腸の腺窩(せんか・クリプト)の再生が活発に行われていたと報告されている。小腸は食物からの栄養をより消化・吸収しやすくなるよう、腸壁内に絨毛が存在してその表面積を大きくしている。腺窩は絨毛の下(基底)にあり、絨毛の上皮細胞は腺窩で幹細胞より作られている。
腺窩(腺窩細胞)は、通常絨毛を作る過程で2~3日で寿命を迎えるため、多細胞と比較しても細胞分裂が活発に行われている。腺窩細胞は放射線を浴びることで、細胞増殖がストップ(あるいは鈍化)してしまうと言われ、それが原因で下痢や消化不良、より重篤な病気に発展する。つまり、先に紹介した研究では、放射線を照射してもマウスの腺窩はその影響を強く受けなかったのである。
マウスの実験のため、これをそのまま人間に当てはめることはできるのか?という疑問はあるが、ヒトも日々太陽からの紫外線を浴びて生活しており、それが腺窩に多少なりとも影響を及ぼしていると考えられる。味噌の持つ抗放射線作用が、腸内環境にプラスに働くと言うことができるだろう。
(2)味噌は長寿に関係する?
「味噌の三礎」という言葉がある。これは、味噌には「味の素、命の元、美の元」が含まれているという意味だが、特に「命の元」というのは、やや眉唾な意見にも感じられる。しかし、生体への作用を考慮すると、あながち「味噌を食べると長寿になる」というのは言い過ぎでもないことが分かる。
実際に、味噌が健康に及ぼす影響も科学的に証明されているのだが、それに関係しているのが、味噌に含まれている「メラノイジン」だと言われている。これを説明する前に、味噌の「色」に関して説明していきたい。
味噌には白味噌、赤味噌など様々な種類があるが、それぞれに着色しているのは発酵過程で「メイラード反応(アミノカルボニル反応)」という着色反応を起こしているからだ。メイラード反応とは、食物に含まれるたんぱく質(アミノ酸)と炭水化物が、それぞれ分解されてが起こす着色反応である。身近に起こるメイラード反応には、肉や魚を焼いたときの焼き色、あめ色になった玉ねぎなどが思い浮かぶだろう。
同じような糖化反応として、思い浮かべるのが終末糖化産物(AGEs)だ。AGEsはたんぱく質や脂質が糖へ曝露されることによる、糖化反応で生成される物質の総称であり、焦げ目などがよく知られている。AGEsは「老化に関与する物質」の代表格であり、今回のテーマとは真逆の存在だ。しかし、メイラード反応によって生成され、味噌や醤油の褐色成分となるメラノイジンは、むしろ高い抗酸化作用を持っていることで知られている。
1)メラノイジンの効果
メラノイジンの効果としては、腸内にて複数の効果を発揮する。
①食物繊維と似た機能
乳酸菌(善玉菌)の増殖を促し、嫌気性菌(悪玉菌)の増殖を抑える。これにより、便の滞留時間が短くなる(便秘の解消など)とされている。また、ラットでの研究では肝臓・血液のコレステロール値が低下した。いずれの作用も、食物繊維に共通するものだ。
②複数のがんリスクの予防
1日1杯未満、1日1杯、1日3杯の味噌汁を飲んでいるグループでそれぞれ比較したところ、多く飲んでいるグループほど乳がんリスクが低かったと報告されている(ラット、人間両方での研究で同様の報告がなされている)。これに似た効果が、胃がん、肺がん、前立腺がん、肝臓がん、大腸がんでも報告されている。
(3)味噌に含まれる栄養素
大豆たんぱく質
非ヘム鉄であり、動物性食品に多く含まれるヘム鉄よりも健康リスクが低い。吸収効率はヘム鉄に劣るため、ビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取するといいだろう。味噌汁の具材としては、キャベツ、ほうれん草、ジャガイモなどが挙げられる。
イソフラボン
エストロゲン様作用を持つ※個人差あり
大豆レシチン
自然由来の大豆レシチンは、アンチエイジングに高い効果を発揮すると言われている(動物性レシチンとは区別すること)
サポニン
過酸化脂質の生成を抑制すると言われている。
リノール酸
メラニン(シミなど)の合成を抑制する
カルシウム
いわゆるマグカル比(マグネシウムとカルシウムの比率)が、牛乳よりも優れていると言われる。
食物繊維
腸内環境(特に大腸)を整えるのに役立つ。
(4)味噌の種類
味噌汁には大きく「白味噌」「赤味噌」に分類できる。
※味噌の種類
味噌は原料によって「米味噌」「麦みそ」「豆味噌」に分けられたり、味によって「甘味噌」「甘口味噌」「辛口味噌」に分けられるなど、分類法がいくつかある。ここでは色の分類として、2種類で考えていきたい(色の分類でも、中間色にあたる「淡色系味噌」があるが、話をシンプルにしたいため二分している。
2つのうち、白味噌は一般的に大豆を「煮る」ことで作り、「塩分が少ない」という特徴を持つ。一方で赤味噌は大豆を「蒸す」ことで作り、白味噌よりも「塩分が多い」。近年の減塩ブームにより、白味噌は比較的人気が高い。しかし、煮るという工程によって栄養も逃げてしまうため、栄養は赤味噌の方が豊富と言われている。
これ以外の特徴として、白味噌はGABAが多い。抑制系の神経伝達物質として働き、落ち着く、睡眠の質を高める、集中を高める、血圧を下げるなどの作用を持つ。そのため、白味噌は朝よりも夜の調理に使用した方が適しているかもしれない。また乳酸菌の含有量も、白味噌の方が多いとされる。
赤味噌はペプチド、つまり分解されたたんぱく質量が豊富だ。先に紹介したメラノイジンも、赤味噌の方が多い。
ちなみに2つの味噌を比較すると、赤味噌のほうがしょっぱい場合が多い。これは塩分量から見ても自然なことと思えるが、味噌の味は塩分と麹の割合で決まることが多い。
(5)味噌を摂るうえでの注意点
過敏性腸症候群を持っている人は、味噌の豊富な成分に過剰反応してしまうことがあるため、注意が必要だ。また、カンジダ症を持っている人の場合、本来健康に良い影響を及ぼす食材を摂取しても、カンジダ菌の餌になってしまうリスクが高い。まずは治療をした上で、こうした食習慣の改善を行う方がいいだろう。
グルタミン酸不耐性を持つ人は、味噌などで消化不良を起こす場合がある。非常に稀有なケースではあるが、味噌を食べ始めて様子を見て、自身の健康状態がどう変化するかをよく観察してほしい。
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