2022.03.05ブログ
第74回 知っておきたい肝臓の基礎知識
私達は食事により、身体機能を維持するための栄養やエネルギーを補給している。三大栄養素である糖質・たんぱく質・脂質の代謝によってエネルギーが生じることはよく知られているが、実際にはATP(アデノシン3リン酸)が加水分解でADP(アデノシン2リン酸)へ変化するときに、エネルギーが生じている。
代謝それぞれの代謝経路を経てATPが生産されるが、こうした代謝と深い関係を持つのが肝臓だ。代謝の詳細は過去にも紹介しているが、ここでは肝臓の働きにフォーカスするとともに、肝臓を起点に起こる身体のエコシステムについて解説していきたい。
(1)糖代謝
糖は消化管で分解され、小腸で消化酵素のアミラーゼにより、単糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトース)まで分解される。これらは門脈を通り肝臓、そして全身をめぐり余剰分は肝臓に戻ったのち、グリコーゲンとして貯蔵される。これがいわゆる肝グリコーゲンである。
血液中のグルコース量が低下、つまり低血糖の状態ではグリコーゲンがグルコースへ変成され、血中へ放出される。この時、筋肉中のグリコーゲン(筋グリコーゲン)は血中へ放出されず、筋活動にのみ使用される。
しかし、低血糖状態がさらに悪化していくと、肝グリコーゲンは約半日で貯蔵分を使い切ってしまうとされており、他からグルコースを調達する必要が生じる。主な調達先となるのが、筋と脂肪組織である。
筋では、ピルビン酸から乳酸が使用される。もうひとつは、筋中のたんぱく質を分解しアミノ酸が消費される。脂肪組織は、トリグリセリドからグリセリンが消費される。この一連の反応が「糖新生」である。
(2)たんぱく質代謝
たんぱく質は消化酵素により、20種類のアミノ酸へと分解される。こうして生成されたアミノ酸を、全身の細胞へと供給するのが肝臓の役目だ。
体内で古くなったたんぱく質は、再度アミノ酸へ分解。新たんぱく質の材料となる。すべてのたんぱく質がアミノ酸へ分解されるわけではなく、一定量がATPとして活用される。アミノ酸の分解過程では、代謝産物としてアンモニアが発生する。
体内には有害なアンモニアを、肝臓は尿素へと分解。尿素は腎臓へ運搬され、尿として排出される(解毒作用)。
1)血漿(けっしょう)たんぱく質
肝臓内では、アミノ酸の合成(たんぱく質の生成)も同時に行われており、それらも全身へと送られている。このように放出されたたんぱく質は、「血漿」たんぱく質」と呼ぶ。
血液中には、100種類以上のたんぱく質があるとされている。全体の約60%を占めるとされるアルブミンというたんぱく質は、血管内に細胞内の水を引き寄せる作用があり、これを「※血漿膠質浸透圧の維持作用」と呼ぶ。
※膠質浸透圧
浸透圧の一種で、動物の循環系において主としてアルブミンの濃度によって生じる血漿や間質液の浸透圧のこと。
アルブミンが不足している場合、血管外へ水が出てしまい浮腫(むくみ)の原因となる。
血漿たんぱく質で、もう一つ有名な存在がフィブリノゲン(血液凝固因子)だ。外傷などで出血が生じると、血小板による止血作用が働く。血小板が血液を凝固する際、肝臓からフィブリノゲンが放出され、トロンビンという酵素によってフィブリンへと変性。フィブリンが血小板を包み込み、凝固作用をもたらす。
(3)脂質代謝
脂質は十二指腸にて、膵リパーゼという消化酵素により分解される。そして、胆汁(胆汁酸)により※乳化し、小腸で分解される。
※乳化
胆汁酸は、性質上親水基(水に溶けやすい)と疎水基(水で溶けにくく、油と混ざりやすい)という二つの性質がある。分解された脂質に対して、疎水機が脂質と組み合わさり、外側を親水基が覆うという構造になる。これを「ミセル」と呼び、ミセルによって、本来水に溶けにくい脂質の周囲を水溶性の高い親水基が覆うことで、脂質が水で分散しやすい状態が生まれる。これが乳化である。
こうして、脂質のトリグリセリドがモノグリセリドと脂肪酸に分解され、小腸上皮細胞に吸収される。そして、小腸内でトリグリセリドへと再合成される。そして、脂質はリンパ管を経由して全身へと運ばれる(例外として、グリセリン単体や中鎖脂肪酸は、門脈を通り肝臓へと送られる)
しかし、トリグリセリド、リン脂質、コレステロールはリンパ液を流れにくい。そこで登場するのが「アポたんぱく」だ。乳化とよく似ていて、親水性のあるアポたんぱくは、リン脂質のリン酸とともに脂質を覆い、リンパ管を通いやすくする。この状態をカイロミクロン(リポたんぱく)と呼ぶ。そして、脂質はリンパ管→静脈角→心臓→動脈へと流れていく。
血管内にて、カイロミクロンはリポたんぱくリパーゼによりグリセリン、脂肪酸へと分解される。脂肪酸はアルブミンと結合し遊離脂肪酸となり、各細胞や脂肪細胞へ運ばれ、ATPとなる。
グリセリンとカイロミクロンの残りは、肝臓へ送られVLDL(超低密度リポたんぱく質)となる。VLDL内には、トリグリセリドが最も多く存在し、コレステロール、リン脂質、アポたんぱくなどがある。これらも遊離脂肪酸として、細胞や筋へエネルギー源として運ばれる。
こうした運搬されると、その先でコレステロールが残留する。これによりコレステロール濃度が上がった状態で、よく耳にするのがLDLである。よく悪玉コレステロールと呼ばれるが、LDLはコレステロールを全身の細胞へと運ぶ役割を担っている。しかしコレステロールの過剰分は、血管内壁にもつけてしまい、その蓄積が動脈硬化の要因となる。
肝臓でHDLも生成される。こちらは善玉コレステロールという名称で有名だ。HDLは全身をめぐり、余分なコレステロールを回収する役目がある。コレステロールを回収し肝臓へ戻ったHDLは、成熟HDLとも呼ばれる。回収されたコレステロールは、胆汁酸の原料となる。
#FUJIIパーソナルジム #杉並区 #方南町 #駅近 #筋トレ #ダイエット #パーソナルトレーニング #ボディメイク #健康 #美尻 #体験トレーニング #FITFOODHOME
Category
New Article
Archive
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年4月