2022.03.19ブログ
第76回 「太りやすい体質」と遺伝子変異との関係
身体づくりにおいて、「消費カロリーが摂取カロリーを上回る」というのが大原則だ。しかしながら、カロリー計算上や基礎代謝などの数字の中では順調にやせるはずが、思うように体重が減らないというケースがある。
もしもこうしたケースが起きた場合、俗にいう「太りやすい体質」に当てはまる可能性を考慮する必要があるだろう。
(1)人が太る原因とはなにか
そもそも、人が太りやすい原因はどこにあるだろうか?簡単に思い浮かべられるものとすれば、次のようなものが挙げられるだろう。
1)食べ過ぎ
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余剰分が体脂肪として蓄えられる。早食いやながら食い、食事時間が不規則である、夜間にドカ食いをする、飲酒量が多いなどが、主だった生活習慣の特徴だろう
2)自律神経の乱れ
不規則な生活、ストレスによる自律神経が乱れ、特に交感神経の働きが低下すると、アドレナリンの分泌量が減り、脂肪燃焼・貯蔵のコントロール力が弱くなる。コルチゾール分泌量によって、血糖値の乱高下が誘発され、結果的に肥満になるともされている。
また、視床下部の満腹中枢・空腹中枢の調節機能が低下することで、過食気味になってしまうこともある。
3)運動不足
運動不足は消費エネルギー低下を招くだけでなく、エネルギーの体内への貯蔵も起こりやすくなる。
4)褐色脂肪細胞がうまく働かない
脂肪細胞には、細胞内に脂肪を貯蓄する白色脂肪細胞と、脂肪を分解し熱を産生し、体温調節を行う褐色脂肪細胞とがある。肩甲骨周辺や脊椎周辺に存在する褐色脂肪細胞が、機能低下や減少すると、肥満になりやすいと考えられている。
褐色脂肪細胞は、該当する部位(肩甲骨周辺など)を運動等で刺激することや、寒冷刺激、気温が低い状態で活性化しやすい。
5)遺伝子変異
先天的な遺伝的要因や、後天的な要因(生活習慣等)による遺伝子変異が、体質にもたらす影響は非常に大きい。上記に紹介した太りやすい原因をクリアしているにもかかわらず、「なぜか思うように減量できない」というクライアントの場合、遺伝子的な要因が考えられる。
遺伝子、DNA、ゲノムの違い
よく遺伝子とDNAを混同しがちな人がいる。これを機会に軽く紹介しておきたい。
まず、DNAとは「デオキシリボ核酸」の略称で、4種類の塩基で作られた長い紐で構成されており、ヒトの場合は46本に分断されている。
一方で、遺伝子とはDNAの中の一部が持っている情報のことであり、DNAの約1.5%程度を表しているとされている。例えば、DNAのなかでインシュリンを作るものを持つ部分を「インシュリン遺伝子」、セロトニンを作るものを持つ部分を「セロトニン遺伝子」と呼ぶという感じだ。
また、DNA研究や関連する記事では、「ゲノム」という言葉も耳にするだろう。ゲノムとは、身体を作るのに必要な遺伝子のセットのことだ。46本の染色体の23本を母親から、残りの23本を父親から引き継いでいる。23本を1ゲノムとし、身体は2ゲノムで構成されている。
こうして受け継いだDNAの配列は、どんな人でも99.9%は同じ構成だと言われている。その中の0.1%の違いにより、体質の違いが出るのだ。この配列によって起こる身体の変化を「遺伝子変異」と呼ぶ。
(2)太りやすさを決める遺伝子
「肥満遺伝子(倹約遺伝子)」というものがある。この遺伝子は、エネルギー代謝に深い関連がある遺伝子の総称だ。人類は長らく飢餓の世界を生き抜くため、エネルギーの節約が必要不可欠だった。肥満遺伝子の変異により、中性脂肪の分解を抑制したり、基礎代謝量が低くなったりしたことで、ヒトは飢餓の時代を生き延びたのである。
しかし、日本をはじめとする先進国は飽食の時代を迎えていて、多くの国民が食に困らない生活を送っている。加えて、添加物等の発達により食欲が増幅されている。そのため、エネルギー摂取過剰からの肥満が引き起こされやすくなっている。
肥満遺伝子は、現時点で50以上が発見されている。そのなかでも、特に有名なのが次の遺伝子だ。日本人の健常者の約97%が、この3遺伝子のいずれかが変異しているとも言われている。
1)β3アドレナリン受容体(β3AR、ADRB3)
ホルモン受容体リパーゼの活性化を促しており、ここに変異が起こると中世脂肪分解を抑制してしまうと言われる。3人に1人が持っているとも言われる。
2)脱共役タンパク質1(UCP1)
褐色脂肪細胞の中にあり、エネルギー燃焼を促す。ここに変異が起こると消費カロリーが少なくなり、代謝が下がると言われる。4人に1人が持っているとされ、タンパク質や脂質よりも糖質に反応すると言われている。
3)β2アドレナリン受容体(β2AR、ADRB2)
脂肪燃焼、分解に関与する。遺伝子変異により、たんぱく質をエネルギーとして優先的に消費してしまう傾向があり、筋肉がつきにくくなる。
(3)遺伝子変異による肥満・疾病リスクは回避できるのか
肥満遺伝子の遺伝子変異は、肥満を引き起こしやすいだけでなく、糖尿病や様々な生活習慣病のリスクになる。実際に、肥満遺伝子の遺伝子変異が見られる人は、そうでない人の約5倍のリスクがあるとされている。
しかしながら、こうした遺伝子変異が確実に肥満・疾病を引き起こすかというと、決してそういう言い切れるわけではない。遺伝子変異は「確実にその症状になる」ことを示しているのではなく、「その症状になりやすい」に過ぎないからだ。
実際に、こうした肥満や生活習慣病に関しては、遺伝子の影響が約3割、生活習慣の影響が約7割とされている。こうした数字からも、「遺伝子変異による肥満も、生活習慣である程度アプローチ可能」と考えられるだろう。
遺伝子変異と糖尿病との関連
肥満とは別の問題だが、糖尿病も遺伝的要因が大きいと考えられている。一般に、糖尿病に関わっている遺伝子は次のものが挙げられる。
・インシュリン受容体
・アディポネクチン
・βアドレナリン受容体
・TCF7L2
・PPARY
しかしながら、これらすべての遺伝子に変異が起きているというのは、かなりレアなケースだ。遺伝子変異により糖尿病のリスクが高い方も、生活習慣を気をつけることでそのリスクを下げることができると考えた方が良いだろう。
・食生活
普段の食事内容、外食・飲酒の頻度、間食の頻度、普段飲んでいる飲料等。食生活を注意しているように見えて、意外な場面で摂取カロリーがオーバーしている可能性を考える。
・運動量
幼少期からの運動歴、1日あたりの歩数、取り組んでいるスポーツの有無等。摂取エネルギーに対して、消費エネルギーを上回っているのか。また、運動によって褐色脂肪細胞を刺激できているかといった指標になる。
・家族
親兄弟の体型等。上記2つに加えて、遺伝子変異の要因が隠れていないかをチェックする。
2)指導
アプローチは、必然的に生活習慣の改善になるだろう。
特に食事については、習慣化で次のことに気をつけていきたい
・食事のタイミングを合わせる(朝・昼・夜の食べる時間を整える)。
・自宅での食事内容を変える(揚げ物を鍋料理にする、間食をよりヘルシ・なものにする等)。
・無理を強いない(会食や付き合いの外食でも、一切の飲酒を禁止するといったことはしない)。
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