2022.04.09ブログ
第79回 セリアック病とクローン病って何?病気の特徴と食事療法を知ろう
前回の記事では、小麦の摂取で腸内に起こる有名な病気として、リーキーガット症候群について紹介しました。
実際に、小麦が原因となる疾病で、多いのはこのリーキーガット症候群でしょう。今回は、リーキーガット症候群と合わせて紹介されることが多い二つの病気、「クローン病」「セリアック病」について紹介したいと思います。それぞれの食事療法も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
(1)クローン病
クローン病は、1932年にニューヨークの医師によって報告された病気です。実はこのクローン病、ここ数十年間で世界的に患者数が増えた病気でも知られています。日本でも、1976年に128人だった患者数が、2016年には約4万人まで増えました。
特に増加傾向が強いのは欧米で、アメリカでは人口10万人あたりの患者数が約200人と言われています。日本は10万人あたり約27人なので約1/9ですが、それでもこの患者数の増加は気になりますね。
指定難病であるクローン病は、10代~20代と比較的若い人に見られやすい症状です。男性では20歳~24歳、女子では15歳~19歳に多く見られると言われています。男女比は2:1で、男性に多いのが特徴です。
1)クローン病は生活水準が高い人に多い?
クローン病は、今も正確な原因が判明していません。一説としては、免疫システムが正常機能しないことが原因と考えられています。そのなかで興味深いのが、クローン病は生活水準が高い人ほど、発症リスクが高いと言われている点です。
実際に、クローン病の発症数が多い欧米を見てみると、動物性脂肪や動物性たんぱく質の摂取量が日本より多めです。また、これらの諸外国は日本と異なり、小麦を囲うした主食やお菓子類を食べる傾向も強いと言えるでしょう(発症要因には人種なども条件なので、一概に食事がすべての原因とは限りません)
2)クローン病の症状~口から肛門のあらゆる消化器官で起こる~
クローン病では、特に次のような症状が多く見られます。
・腹痛
・下痢
・発熱
・下血
・体重の減少
・全身の倦怠感
・貧血
この中でも、特に多いのが腹痛と下痢で、患者の半数以上に見られると言われています。そして、クローン病で怖いのが「あらゆる消化器官」で起こる傾向にあるという点です。
ここでいう「消化器官」というのは、口、食道、胃、小腸、大腸、回腸、直腸、肛門と、口からお尻までのすべての器官を意味します。例えば、もしクローン病が大腸に病変が見られた場合は、「大腸クローン病」という風に呼び分けることも多いです。クローン病が特によく見られる部位が小腸で、次いで大腸でも見られます。
ちなみに、クローン病は遺伝病ではありませんが、人種・地域・家系による発症頻度の違いがあることから、遺伝的要因は否定されていません。ご家族で腹痛が多い方、ちょっとお腹がゆるめという方が多い場合は、注意が必要かもしれませんね。
3)高カロリー食、低脂肪食などによる食事療法~IBDってなに?~
クローン病は、炎症性腸疾患「IBD」の一種です。IBDには、他に胃潰瘍性大腸炎があります。IBDでの食事療法は、主に次のプランで行われることが多いです。
ここで紹介する食事療法は、あくまで医師による診断などを通じて行われるものです。トレーナーサイドで「あなたはクローン病だからこの食事を摂りましょう」という診察・診断はしないように注意しましょう。食事指導のシーンにおいて、「こうした食事療法もあるんですよ」といったアドバイスの一種と捉えてください。
①高カロリー食
腸の炎症や潰瘍を治すには、多くのエネルギーが必要です。クローン病の方の場合、相手の標準体重1kgあたり35~40kcalを1日あたりの摂取カロリーの目安にします。
②低脂質食
n-3系脂肪酸など、炎症を抑える効果が期待できる脂質を含む食品(魚介類、えごま油など)を多めにして、肉や高脂質の食品を控えます。
③食物繊維を控える
健康的な食事には欠かせない食物繊維ですが、場合によっては腸の炎症を悪化させてしまいます。特に注意したいのは、不溶性食物繊維(もやし、ごぼう、レンコンなど)です。これらを控えつつ、ブロッコリー、ほうれん草、トマトといった緑黄色野菜を消化しやすい形で調理し摂取しましょう。ちなみに、水溶性食物繊維(リンゴ、バナナなど)は、下痢を抑える働きがあるとされています。
④その他
たんぱく質(できれば魚介類)の摂取、乳酸菌の摂取、オリゴ糖の摂取、カルシウムの摂取、鉄の摂取 など
(2)セリアック病
セリアック病は、より小麦と関連の深い先天的な病気です。小麦に含まれるグルテンに対して、免疫機能が過剰反応してしまい、腸の粘膜を傷つけてしまうことで発症します。「グルテン過敏症」という別名で呼ばれることもあり、乳幼児や児童に症状が見られる傾向にありましたが、最近は40代の方など、大人でも発症が報告されています。
1)セリアック病の症状
セリアック病は、小麦をはじめとした穀物を食べると、消化吸収不良で次のような症状が出ると言われています。
・下痢
・食欲不振
・脂肪便
・腹部の張り感
これに加えて、日ごろの食生活が偏ると栄養の吸収が不十分になりやすく、貧血や低体重が起こりやすいです。これ以外にも、疲労感や思考力低下、皮膚炎(症状が悪化した場合)などが症状として挙げられます。
1)セリアック病は欧米に多く、日本人では非常にまれ
セリアック病は、主に欧米で多く確認されています。特に白人女性では、100人~300人に1人という割合でセリアック病が見られるそうです。一方で、日本では非常に珍しい病気でもあります。
2)セリアック病の食事療法「グルテンフリー食」
グルテンフリー食は、最近ダイエットや健康食として注目され、実践している人も増えていますね。世界的なテニスプレイヤー、ジョコビッチ選手も、自分の著書でグルテンフリー食で調子がよくなったと書いています。
グルテンフリー食は、セリアック病の食事療法として誕生したという背景があります。ポイントとしては、小麦にまつわる食品・料理を避けるということです。具体的には、次のような食事が当てはまります。
・パン
・パスタ
・お菓子
・ピザ
・うどん
・ラーメン
・マカロニ
・お好み焼き
・たこ焼き
・そば(十割そば以外)
・餃子
・とんかつ
・醤油
・めんつゆ
・ソース
・酢
・味噌 など
こうして見ると、主食だけでなく調味料にも、小麦が多く使われていることが分かります。これらをすべて食べないとなると、食事のストレスも多くなってしまいそうです。
最近では、「グルテンフリー認証マーク」が発行されたパスタやビーフンなども販売されています。グルテンフリーは興味があるけれど、食事が味気なくなるのはつらいな…という方は、こうした商品も活用してみるとよさそうです。一般人に、食事療法として開発されたグルテンフリー食が必要なのか…という点は、次回以降の記事で紹介したいと思います!
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