2022.04.16ブログ
第80回 「グルテンフリー」は万能か問題~健康にどんな影響があるのか~
小麦粉に含まれる「グルテン」は、食べ過ぎにより健康被害があるとされています。
最近では、グルテンを含まない「グルテンフリー食品」「グルテンフリーダイエット」等が注目されています。世界トップのテニスプレーヤーであるノバク・ジョコビッチ選手も、自分の本でグルテンフリー食で体調が良くなったと書き、話題になりました。
いいことづくめに感じられるグルテンフリー食ですが、実は万人に対して最高の食事ではないのかも?という意見も出ているのをご存じでしょうか。今回は、そんなグルテンフリーの効果効能、あるいは健康へのリスクについて紹介したいと思います。
(1)グルテンフリー食の特徴
これまでのブログでも紹介しましたが、グルテンの摂取によって体調不良を訴える方が、特に欧米で増えています。日本人でも、非常にレアケースですがグルテン不耐症を持つ方もいます。前回紹介したセリアック病等で悩んでいる方々に対して、食事療法として取り入れられるようになったのが「グルテンフリー食」です。
グルテンフリー食の特徴は、その名前の通り「グルテンを含まない食事」です。グルテンが多く含まれている食品は、パンやケーキ、ピザやパスタ、お菓子等が該当します。これらを食べないようにするわけですね。
最近では、グルテンフリー食に関する国際団体であるGFCO(Gluten-Free Certification Organization)が発行する「グルテンフリー認証マーク」の食品も増えています。例えば、お米を使ったビーフン、ライスパスタ、はるさめ、パン等です。
こうした食品を、市販されているグルテンを含む食品の代わりとして食べることで、グルテンによる健康リスクを軽減することができるとされています。
1)グルテンフリーが推奨される方
グルテンフリーは、こんな方々に推奨されています。
①セリアック病、小麦アレルギー等に悩まされている方
セリアック病、小麦アレルギー等に悩まされている方は、食事療法であるグルテンフリーを、もっとも実践すべき方々と言えます。
②グルテン不耐症、過敏性腸症候群の方
グルテン不耐症の方は、日本人ではあまり多くないと言われています。しかし、過敏性腸症候群に悩まされる方は、決して少なくありません。疲労感、胃もたれといった不調が慢性的に感じられている方は、一度グルテンフリーを試してみるといいでしょう。
③ダイエット・健康増進したい方
グルテン摂取量が減ることで、腸内環境が改善し健康的になったという方や、ダイエットに成功したという方の声をよく耳にします。そもそも、小麦粉を使った食品は高カロリー低栄養なものも多いため、それらを控えるだけで健康的になれるという意見も多いです。
(2)グルテンフリーによってむしろ病気リスクが増す?
ここまで、グルテンフリーによる様々なメリットを紹介してきました。ここからは、そんなグルテンフリーが健康に「悪影響を及ぼす」という意見について、紹介していきたいと思います。
1)グルテンフリーにすると、かえって必要な栄養が取れなくなる?
2017年に発行された『BMJ(the British Medical Journal)』には、グルテンの長期摂取と冠動脈性心疾患の発症との関連を調べた調査が報告されています。この調査では、1986年から2010年までに、男女合わせて10万人以上を対象に健康調査の結果を検証。その結果、長期的なグルテン摂取と、冠動脈心疾患のリスクとの関連は発見できませんでした。
しかも、グルテンフリー食を続けることで、豊富な栄養が含まれる全粒穀物の消費が減少してしまい、かえって心血管リスクに影響を及ぼす可能性があると報告されました。そして、この調査は「セリアック病ではない人に、グルテンフリー食を勧めるべきではない」と結論付けたのです。
特に全粒穀物に関しては、2015年に発表された論文で「全粒穀物の摂取量が多い人は、2型糖尿病や心血管疾患といった慢性疾患のリスクが低い傾向にある」と報告しています。この研究も、1984年~2010年までの男女11万人以上の健康状態を調査したデータを基に算出しているので、かなり信ぴょう性が高いと言えるでしょう。
2)グルテンフリーが腸内環境に悪影響を及ぼすかも?
もう一つ、2009年に発表されたグルテンフリーに関する研究で、興味深いものがあります。この研究では、10人(平均年齢30歳)の健常者を対象に、1ヶ月間のグルテンフリー食を実践してもらいました。1カ月後に腸内環境を調べると、ビフィズス菌といったいわゆる「善玉菌」の割合が減少していたそうです。
この調査は検査対象者数が少ないですが、健常者にとって、グルテンフリーが必ずしも腸内環境の改善になるわけではないということが分かります。
(3)グルテンフリーはあくまで「食事療法」であることを忘れずに!
ここまでの話で、グルテンフリーが必ずしも健康に良い影響を及ぼすとは限らないということが、分かったのではないでしょうか。大事な点は、グルテンフリーはあくまでも「食事療法」として誕生したということを忘れない点です。
グルテンフリーは、セリアック病の食事療法として開発されました。セリアック病は、グルテンに対して免疫機能が過剰反応してしまう、「先天性」の病気です。欧米で増えているとはいえ、その割合は特に多いとされる白人女性でも100人~300人に1人とされ、日本人はかなり珍しい病気とされます。
そんなセリアック病に対して生まれらグルテンフリー食を、健常者が実践したらどうでしょう?確かに、ジョコビッチ選手のように健康面・パフォーマンス面でいい結果を得られたという人もいますが、一方でグルテンによる健康被害以上に、全粒穀物による栄養が摂取できず体調不良になってしまう人もいます。
もしも、クライアントや自分自身の食生活を見直す一環としてグルテンフリー食を試すのなら、期間を決めて細かく健康状態をチェックする必要があるでしょう。また、グルテンフリー食以外ではなるべく生活習慣(運動、睡眠など)を変えず、純粋にグルテンフリー食だけでどの程度身体に変化が起きたかも確かめてください。
グルテンフリーを続けながら、全粒穀物に含まれる豊富な栄養素を別の形で摂取するという方法も、もちろん不可能ではありません。様々な方法を検討しつつ、食事内容をカスタマイズしてみてください。
1)食事で大事なのはあくまで「バランス」
ちなみに…。このグルテンフリー食の話を聞いて、「この議論、何かと似ているな」と思いませんでしたか?そう、「糖質制限食」です。
最近ではだいぶ下火となりましたが、それでも糖質制限はダイエットの食事として根強い人気があります。糖質制限はグルテンフリーよりも身近で、かつ高い減量効果があるのがその理由でしょう。
しかし、糖質制限も元をたどれば糖尿病患者の方々の食事療法として生まれた背景があります。一般の方々が糖質制限を長期間継続するのは、身体面・精神面どちらもあまりいい影響がありません。
食事において、第一に考えるべきは「バランス」です。栄養バランスはもちろん、「これなら毎日楽しく食事できる」という、メンタル面のバランスも大事です。「ダイエットならグルテンフリー」と、一つの食事法に固執しないようにしましょう。
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