2022.04.23ブログ
第81回 BUN(血中尿素窒素)で学ぶ腎臓の健康と食事に必要なスタンス
皆さんは健康診断などで「BUN(血中尿素窒素)」という値を見たことがありますか?「尿素窒素」「血清尿素窒素」など様々な呼称があるBUNは、腎臓の健康度合いを知るための指標として有名です。
実は上級トレーニーの方で、「BUNの数値が高め」と診断される人が結構多いんです。今回はそんなBUNという指標を説明しつつ、腎臓の健康を守るために必要なことを学びましょう。
BUNが腎臓の健康度合いの指標となる理由
日本臨床検査標準協議会が定めている、BUNの基準範囲は「8~22mg/dL」です。そして、BUNというのは名前の通り「血中に含まれる尿素」の値です。この数値が高い人は、得てして「腎臓機能が低下している」と言われています。
まずは、ちょっとだけ化学の勉強をしましょう。尿素は、たんぱく質が体内で分解されたあとの、最終産物です。たんぱく質が分解される過程で、アンモニアが生成されます。アンモニアは粘膜刺激や呼吸刺激、腐食性がある物質で、人体にも悪影響です。
肝臓でアンモニアから合成されると、アンモニアは血液を介して腎臓へと運ばれます。そして、糸球体でろ過され尿中で排泄されることで、人体への影響を最小限に抑えられているのです。この尿素を化学式で表記すると、「CH₄N₂O」(Cは炭素、Hは水素、Nは窒素、Oは酸素です)となります。実際の構造は、下の図のような感じです。
尿素に含まれている窒素の量を測定しているのが、今回のテーマであるBUNというわけです。BUNが高いということは、それだけ血中に尿素が多いということ。そのため、尿素が多い=腎臓機能が低下しているという判断になるわけです。
BUNが高い人に見られる疾患
BUNが基準値よりも高い人は、次のような疾患リスクが高いと考えられます。
- 急性腎炎
- 慢性腎炎
- 腎不全
- 腎盂腎炎
- 腎がん
- 腎硬化症
- 心不全
腎臓機能のもうひとつの指標「クレアチニン(Cr)」
腎臓機能を評価する、もうひとつの指標として有名なのが「クレアチニン(Cr)」です。クレアチニンは、筋肉中のクレアチンの終末代謝産物であり、血液中に存在します。基本的に、クレアチニンは腎臓で排泄されます。しかし、腎臓機能が低下すると、やはり血液中に残留して値が大きくなってしまうのです。
Crの基準値
男性 1.00mg/dL以下
女性 0.70mg/dL以下
BUNが基準値をオーバーしてしまう要因として、次のような可能性が挙げられます。
(1)腎臓の機能低下
まず考えるべきは、腎臓の機能低下です。腎機能低下の原因は、次のように分類できるでしょう。
①加齢
加齢によって、腎臓のろ過機能が低下してしまいます(具体的には、腎臓のろ過を担う「ネフロン」という物質が減少します。
②高血圧
高血圧によって、糸球体などの細い血管を傷つき、腎機能が低下してしまいます。
③肥満
肥満細胞から分泌される物質で、糸球体の機能が低下してしまいます。
④暴飲暴食・栄養不足
栄養バランスの悪い食事、特に暴飲暴食は、腎臓に重い負荷をかけます。結果、腎機能が低下します。
⑤ストレス
ストレスで血流が悪化すると、当然腎臓への血の巡りも悪くなります。結果、腎機能が低下します。
⑥その他
これ以外にも、遺伝的要因や糖尿病といった病気によって、腎臓のろ過機能が阻害されてしまうケースもあります。
(2)水分量の低下
脱水症状では、尿素が体内に吸収されやすい状態です。結果として、BUNの値が上昇しやすくなります。脱水というのは、摂取する水分よりも失う水分が多い状態ということ。普段からあまり水を飲まない人はもちろん、大量の発汗を伴う運動やサウナが好きな人も、こまめな水分補給を心掛ける必要があるでしょう。
その中で、意外と見落としがちなのが「短期間のダイエット」をしている人です。2週間で10kg!といった急激な減量は、若年女性にとって非常に魅力的なダイエットだと思います。階級制スポーツでも、短期間で一気に体重を落とす選手は珍しくありません。
しかし、こうした短期間での減量では、体脂肪が減っているのではなく「体水分量の低下」によって体重が落ちているのです。体水分が減るということは、腎臓への血流量が低下するということ。過酷なダイエットの結果、急性腎障害の発症リスクが高まってしまいます。
(3)食事~たんぱく質の摂りすぎ問題
今回のnoteで、特に注目したいのが「食事によるBUN増加」です。先ほど、腎機能が低下する要因として「暴飲暴食・栄養不足」を紹介しましたが、ここでは少し違うテーマを扱います。
BUNは、血中の尿素窒素の値と説明しましたね。そして、尿素はたんぱく質の分解された最終産物です。つまり、普段からのたんぱく質の摂取量が多い人ほど、尿素も多くなる傾向にあるということです。
腎臓機能が正常でも、たんぱく質の摂取量が多い(大量の肉を普段から食べている)人は、22mg/dL~40mg/dLといった高値を記録することがあります。こうした場合は、Crの上昇も合わせてチェックして、「腎臓機能が低下している」と判断するケースが多いようです。
BUN値が高いということは、「自分の腎機能が処理できるよりも、多くのたんぱく質の摂取量が多い」ということの示唆にもなります。まあ、日本人はそもそもたんぱく質摂取量が減少気味なので、たんぱく質はあまり摂らないようにすることは、そうそうないでしょう。
ただし、たんぱく質の「過剰摂取」によるリスクは、しっかり意識する必要があります。たんぱく質に限らず、どんな栄養も摂りすぎれば身体によくないことが起こります。どんな人にも普段の食生活から「何が不足し、何が過剰か」を判断する思考が必要です。
実際に、BUNの値が高い慢性腎臓病(CKD)に対しては、たんぱく質制限の食事療法が取られます。その場合、腎機能の悪化抑制効果があるとされているのが、0.3g~0.6g/kgのたんぱく質摂取量です。しかし、この摂取量もCKDの度合いに応じて、0.6g~0.8g/kgのたんぱく質摂取量が基準となるケースもあります。これくらいの摂取量であれば、一般の方々と大きな差はないですね。
当然、たんぱく質摂取量が減る分他の食事を増やし、1日に必要なエネルギーを確保しないといけません。食事指導に対しては、この「バランス」への意識を常に持っておいてください。
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