2022.05.07ブログ
第83回 ココナッツオイルの栄養学
「質のいい油を摂りましょう」という言葉は、様々なシーンで耳にしますよね。数多く存在する油の中で、「質のいい油」というカテゴリーに分類される食品の一つとして挙げられるのが、ココナッツオイルです。ココヤシ果実の種子である、核果の中にある胚乳から抽出された成分であるココナッツオイルを、「栄養学的にどうなのよ?」という観点でご紹介したいと思います。
ココナッツオイルの栄養成分の基礎
ココナッツオイルは「ヤシ油」と表現されることがあります(ヤシ油はパーム油を指すことがあるので、ちょっとややこしいですね)
ココナッツオイルの92%は飽和脂肪酸で構成されています。飽和脂肪酸といえば、常温で固体となる脂肪として有名ですよね。バターや牛脂などが、飽和脂肪酸としてよく知られています。しかし、ココナッツオイルは飽和脂肪酸の中でも固体に変化しにくい特徴を持っているのです。冬の寒い時期でもない限り、油が固まることはなく、ほぼ液体の状態で保存されています。
ココナッツオイルの脂肪の特徴
飽和脂肪酸は、炭素のつながりによって名前が変わるという特徴があります。炭素のつながりが長いものは「長鎖脂肪酸」、中ぐらいのものは「中鎖脂肪酸」、短いものは短鎖脂肪酸という感じで呼ばれるのです。
世の中にある脂肪酸は、ほとんどが長鎖脂肪酸に分類されます。それに対して、ココナッツオイルは「中鎖脂肪酸」に当てはまるという違いがあります。この炭素のつながりによって、保存状態に変化が生まれるわけです。
簡単に説明すると、脂肪酸は炭素のつながりが短くなればなるほど「吸収が早くなる」「血液をサラサラにする」という効果があると言われています。ココナッツオイルは中鎖脂肪酸なので、その分バターや牛脂よりも「ダイエットにおすすめの油!」として紹介されることが多いわけです。
長鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸の割合
とはいえ、ココナッツオイルは全てが中鎖脂肪酸で構成されているわけではありません。ココナッツオイルは約60%が中鎖脂肪酸、約30%が長鎖脂肪酸で構成されています。
中鎖脂肪酸の代表格としてよく知られる「MCTオイル」は、中鎖脂肪酸のみを抽出した食品です。中鎖脂肪酸は門脈を通過して、リンパ管や血液を通らずに吸収されるます。その分肝臓で代謝されるまでのスピードが速いため、エネルギー変換効率が高く、ケトン体生成率が高いことも評価されています。
吸収や消化が早い油は、ダイエットにおいての評価が高くされることが多いが、実際にはお腹を下すデメリットなどもあるので注意が必要です。長鎖脂肪酸はゆっくり吸収されるため、お腹には優しいが、脂肪を蓄積しやすい特徴を持っています。
動物性と植物性の油の違い
一般的に、動物性脂質は植物性脂質に比べて、脂肪が蓄積しやすいと言われています。実は、これはちょっと間違っているのです。
太りやすい脂肪の特徴は「長鎖脂肪酸が多い」ことが挙げられます。動物性脂質は長鎖脂肪酸が多いため、「動物性脂質の方が太りやすい」と言われているわけですね。ただ、動物性脂質の中にも「グラスフェードバター」のように、中鎖脂肪酸が豊富に含まれている食品もあります。
逆に、植物性脂肪に分類される「サラダ油」「種子油」は長鎖脂肪酸が多く含まれているため、太りやすい油と言われています。
ポリネシア人とココナッツオイル
南太平洋には、「フランス領ポリネシア」と呼ばれるいくつもの島で形成された海外領邦があります。この地域に住む人々を「ポリネシア人」と総称するのですが、この地域で生活する人々は、全カロリーの実に60%以上をココナッツオイルで摂取していると言われているのです。
そして、ポリネシア人は心疾患リスクが非常に少ないことでも知られています。日本の食生活では、脂肪(特に飽和脂肪酸)は何かと敬遠されがちですが、中鎖脂肪酸のように食品をちゃんと選べば、脂肪は全て悪というわけではないのではないか?と考えられるわけですね。
(もちろん、現地の人々が摂取している未精製のココナッツオイルと、私達が手に入れられる精製されたココナッツオイルとの違いは考慮しないといけませんが)
ココナッツオイルの健康への影響
じゃあ、実際にココナッツオイルは身体にどんな影響を及ぼすのか?という点も、まとめて紹介していきましょう。
強い抗菌作用
ココナッツオイルは、熱で変化しにくく抗酸化作用も高いと言われています(植物性油に多い不飽和脂肪酸は、酸化に弱いという弱点があります)。さらに、ココナッツオイルはカンジダ菌に対して強い抗菌作用が確認されているのです。これは、ココナッツオイルに多く含まれる「ラウリン酸」のおかげであると言われています。
これ以外にも、ココナッツオイルは様々な菌への抗菌作用が確認されています。「黄色ブドウ球菌」に対しての抗菌作用もあることから、腸内環境改善効果も期待できるのではないかと考えられているのです。
HDL値の改善
HDLとは善玉コレステロールのことです。ココナッツオイルの摂取は、HDLの値を改善してくれる効果もあるとされています。
アルツハイマーの予防
ココナッツオイルに多く含まれる「カプリン酸」「カプリル酸」の摂取で合成されたケトン体には、アルツハイマーを予防する効果が確認されています。
ココナッツオイルのデメリットはあるの?
ここまで読む限り、ココナッツオイルは「万能の油」ってイメージですよね。しかし、残念ながらココナッツオイルにも「ここは注意した方がいいよね」というポイントがあるのです。
男性の発育を阻害する?
私達の身体は、テストテストステロンからジヒドロテストステロンが作られ、それが前立腺機能を保持していると言われています。特にジヒドロテストステロンは、成長期における男性らしさの形成(毛が生えたり、男性器の機能が整ったり)がなされると言われているのです。
一方、ジヒドロテストステロンが多いと、薄毛や前立腺肥大の問題が起こりやすいと言われています。ココナッツオイルを摂取することで、この症状を抑えることができると言われています(テストステロンからジヒドロアンドステロンを作る機能を抑えるため)
ある意味、成人男性にとっては「やっぱりココナッツオイル最強じゃん!」となるわけですが、一方で幼少期にココナツオイルを過剰摂取すると、ジヒドロアンドステロンが不足し、男性らしい体の形成が不十分になる可能性が示唆されています。小さな男の子がいるご家庭では、この点だけ少し注意が必要かもしれません。
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