2022.05.21ブログ
第85回 栄養バランスだけではダメ?満腹感と空腹感をコントロール方法
ダイエットにおいて、「食欲をどうコントロールするか」はかなり重要なテーマですよね。食後すぐお腹が空いて、何かを食べてしまう。別に空腹ではないのに、どこか満足感がない。こうした身体の矛盾した状態を、どう考えていくべきでしょうか。
食欲をコントロールするうえで知っておきたい、満腹感を引き起こすメカニズムや食生活のポイントについて考えていきましょう。
満腹感とはなにか?
そもそも、満腹感というのは大きく2つの状態が作り出す感情です。
①脳の満福中枢に「満腹だ」という信号が送られる
②血糖値が上昇する
①脳の満福中枢に「満腹だ」という信号が送られる
太りやすい傾向にある人にとって、ありがちなのが「お腹(胃)がパンパン=満福」という考えです。そもそも、満腹感は胃袋が物理的に膨らむことで生まれるわけではありません。
食道から肛門まで走行する腸管神経系は、迷走神経節を介して脳とつながります。空腹感や満腹感というのは、腸管神経系~迷走神経を介して脳へと伝えられる信号で、生まれているのです。
腸内細胞が栄養を感知すると、腸細胞からGLP-1という消化管ホルモンが分泌され、膵臓でのインスリン分泌の促進を促します。またGLP-1は、迷走神経を介して脳に対して食欲を抑制するよう働きかける作用もあります。
ちなみに、この反応ではGLP-1だけでなく、細胞のエネルギー源であるATPも生成されます。このATPもまた、腸内環境の変化や迷走神経の亢進を起こしているという研究が発表されました。こうしたメカニズムによって、私達は「満腹感」を覚えるわけですね。
迷走神経は副交感神経を支配しています。ストレス過多の環境だと、交感神経が優位になりやすくなり、迷走神経がうまく作用しません。すると、満腹感を得られにくくなり、暴飲暴食に走ってしまうというリスクがあります。自律神経を整えることは、食欲コントロールにも非常に重要です。
ちなみに、胃の膨満感というのは多少なりとも満腹感に影響します。そのため、ダイエット中に炭酸水を飲むことで、空腹感を紛らわせるというダイエット法を推奨する人もいます。
これは確かに便利なのですが、一点だけ注意点があります。それは、「空腹感は身体に栄養がないことを示すサイン」という要素です。ダイエットはただでさえ、アンダーカロリーで日々を過ごすので、栄養不足の状態になりがちです。にもかかわらず、栄養を摂りこまずに炭酸水だけで生活すれば、より大きな空腹感や体調不良を引き起こします。
ダイエットの時には、小腹が空いた時に食べるものをチョイスしたり「炭酸水以外の選択肢」も用意しましょう。
②血糖値が上昇する
こちらは、比較的有名な状態と言えるのではないでしょうか。私達は一般的に、食事をすることで血糖値が上昇します。具体的には、血中のグルコース濃度が関係していると言われていますが、これは糖の摂取だけでなく、筋分解(糖新生)でも反応すると言われています。
食事で血中のグルコース濃度が高まる=血糖値が上昇すると、満腹中枢から食欲を抑制する信号が伝達されます。よく「早食いの人には肥満が多い」という言葉がありますが、満腹中枢が血糖値上昇を感知するのに、約15分の時間を要するからです。早食いの人の場合、この伝達時間の間にすごい量の食事をしてしまうため、結果としてオーバーカロリー気味の食事になってしまいます。
よく噛んで食べることは、交感神経を通じて内臓脂肪の燃焼にも働きます。早食いが直らないという方は、15分以上かけて食事を摂りましょう。
食事の約15分後で血糖値上昇を感知し、満腹感が伝達されます。こうして伝えられた満腹感は、一般的に約2時間は持続すると言われているのです。食事後2時間でこうした満腹感が持続しない場合、正常に満腹中枢を刺激できていない食習慣であることを疑うといいでしょう。
メンタルが満腹感に大きく影響する
ある人は、野菜が超大好き。またある人は、3食肉を食べるのが好きでたまらない。このように、食の「好き嫌い」は育った環境で全く違います。私達日本人の多くが食べている納豆を見て、「こんなのゲテモノだ!」と海外の方が驚くのと同じ理由です(日本人でも、納豆が苦手な方はいますよね)。
こうした好き嫌いというメンタルの部分も、満腹感には大きく関係します。
糖質制限とリバウンドの関係性
食事によるダイエットと言えば、超有名なのが「糖質制限」ですね。短期間で大きな成果を得られる糖質制限ですが、多くの場合食事を戻すとリバウンドしてしまいます。その理由として挙げられるのが「脳が満足していないから」です。
ここまでに紹介した通り、食事による満腹感というのは満腹中枢、つまり脳が生み出している感情です。確かに糖質を制限すれば、容易にアンダーカロリーの食事メニューを作りやすくなります。しかし、ご飯やパン、パスタやラーメンといった糖質メインの「好物」を我慢するという行為は、脳にとって大きなストレス=不満足感を与えるのです。
その結果、糖質制限をやめた途端にこうした食事メニューへの欲求を抑えきれず、食べ過ぎてしまいます(糖質メインの食事が好きではないという方は、糖質制限も成功しやすいかもしれませんね)。
ヴィーガン的な生活を「ダイエット」として行う危険
一般的な人から見て、菜食主義=ベジタリアンやヴィーガンも非常に特殊な食習慣と言えるでしょう。肉や魚が食べられない、食べる気が起きないという人ならまだしも、ダイエットとしてヴィーガンを取り入れるのはとても危険です。
空腹感というのは、「血中グルコース濃度の減少などで生じる生理反応」です。しかし、気持ちが沈んでいる・好きなモノが食べられないというストレスといった精神的要因で、空腹感は大きくなります。
正しい栄養バランスの食事は、空腹感や満腹感のコントロールには非常に重要です。しかし、栄養の観点だけに焦点を絞りすぎた結果、「好きなモノがまったく食べられない(野菜や炭酸水のみで空腹感を解消する)」というのは、心身両面の健康を満たしていると言えないでしょう。
健康にいいモノを食べる。自分の好物をなるべく我慢しない食生活を送る。この2つが両立できて、はじめて食欲がコントロールでき「楽しくダイエットできる」と言えるのかもしれませんね。
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