2022.06.19ブログ
第87回 腸内環境が不安感を誘発する?食事での改善のポイント
「脳は第二の腸」と言われるようになって、腸内環境の重要性はさまざまなメディアでも紹介され認知されるようになりました。今日は、そんな腸脳相関と「不安感」との関係性について紹介したいと思います。
自閉症児童は腸内細菌
人の身体に存在する微生物の集合を、マイクロバイオームと呼びます。微生物とは細菌、真菌、ウイルスなどを指すのですが、とりわけ腸のマイクロバイオームの構成が、行動障害にも相関関係があるというのが、様々な研究から報告されているのです。
ある研究では、自閉症の児童は高い割合で消化管障害を患っているという点から、自閉症と腸内細菌の異常に関係があると考え、神経症の児童20名と自閉症の児童20名の糞便を調査。ちなみに、調査した神経症を患う児童には、消化管障害は見られませんでした。
この調査の結果、自閉症の児童20名の腸のマイクロバイオームは、神経症の児童よりも明らかに多様性が低かったそうです。マイクロバイオームの多様性は、健康やアンチエイジングの指標のひとつでもあります。特に自閉症児童は、プレボテラ属(嫌気性感染症の回復、糖代謝の改善などが報告されている細菌群)やコプロコッカス属(抗炎症作用を持つ細菌群)、ディアリスター属(同じく抗炎症作用を持つ細菌群)が、少なかったそうです。
4EPS(4-ethylphenylsulfate)について
この後の解説をする前に、これから話す内容と深く関係する4EPSについて、先に紹介させてください。4EPS(日本語で「4-エチルフェニル硫酸」)は、体内でチロシン(うつ状態を改善する効果がある非必須アミノ酸の一種)、クマリン酸、ビニルフェノール、4EPという物質を経て生成される、腸内細菌由来の代謝物のひとつです。
4EPSは別名「尿毒症性毒素」とも呼ばれ、腸内細菌のうちの悪玉菌が作り出すということが分かっています。そして、この4EPSが様々な形で、私たちの行動に悪影響を及ぼすのです。
4EPSが脳に及ぼす影響
さらに、自閉症の症状を持つモデルマウスからは、正常なマウスと比較して4EPSが多く検出されることが報告されています。人工合成した4EPSをマウスに投与すると、不安行動が増えることも判明しています。そこで、2022年に行われた研究では、4EPSと不安行動・自閉症にどんな関係があるのかを調査しうました。
このグループは、4EPSの生成過程で必要となる4EPを生み出す人工細菌を作り、マウスに定着させました。このマウスと人工細菌を定着させないマウスは、そうではないグループよりも不安行動が増加し、社会的な活動(他のマウスとのコミュニケーションなど)の減少が見られたそうです。ちなみに、認知機能や運動機能には差が見られませんでした。
そこで、人工細菌を定着させたマウスの脳を調査すると、オリゴデンドロサイトの成熟が阻害されていたそうです。オリゴデンドロサイトというのは、中枢神経系の中にあるグリア細胞のひとつです。オリゴデンドロサイトは、神経細胞の軸索部分を覆うミエリン(髄鞘)の形成に関わります。ミエリンは、細胞の電気信号の伝達速度を速めたり、他の軸索に電気信号が誤って伝わるのを防ぐ役割があるのです。
ミエリンが損傷あるいは破壊されていると、脳・脊髄の神経活動が阻害されることになります。そうなれば、運動麻痺・感覚麻痺といった障子につながってしまうわけです。
食事から腸内環境を改善するポイント
自閉症などの症状を抱えている場合、自力でなんとかする…という段階ではなく、病院での治療を進めていった方がいいでしょう。しかし、
「最近、休みの日もあせりや不安感がなくならいな」
「職場の同僚や飲み友達としゃべるのがおっくうかも」
といった悩みがある場合、腸内環境を改善することでそれが解消(あるいは改善)されるかもしれません。実際に、4EPSは腸内細菌由来の代謝物のひとつです。腸内環境が改善されることで、自然と4EPSの生成量も低下します。こでは、特に食事にしぼった形で腸内環境を改善する方法を解説していきましょう。
発酵食品と食物繊維を食べる
腸内環境改善といえば、「発酵食品」と「食物繊維」はもはやマストといえるくらい有名ですよね。実際に、健康な成人を発酵食品を食べたグループと、食物繊維を食べたグループに分けて、腸のマイクロバイオームにどんな影響が出たかを調査した研究があります(調査は17週間行われました)
この調査の結果、発酵食品を食べたグループは、発酵食品の摂取量が増えるごとに、腸のマイクロバイオームの多様性が拡大した=腸内環境が改善されたそうです。食物繊維のグループにも、腸内細菌の増加が見られました。また、発酵食品のグループには免疫系の改善効果も確認されました(食物繊維のグループでは見られませんでしたが、これは調査が短かったためではと示唆されています)
発酵食品・食物繊維を積極的に食べることで、腸内環境改善+免疫改善が期待できるということ。ダブルの効果で、メンタル面の改善が期待できそうですね。
プロバイオティクスを摂る
プロバイオティクスは、人体にいい影響を与える微生物やそれを含む製品・食品のことです。食事改善で「プロバイオティクス」と言えば、サプリメントのことを指すと思ってください。食事で発酵食品や食物繊維を摂る場合、サラダや納豆など手軽に食べられるものもありますが、仕事や育児で忙しいと食事だけで健康を維持するのは大変です。
プロバイオティクスは腸内環境改善・免疫改善としての効果が実証されつつあるので、健康・美容のためのサプリメントとして、定期的に飲んでみてもいいかもしれませんね。
なお、プロバイオティクスサプリメントを「iherb」などで探す場合、次のポイントをチェックしてみるといいでしょう。
- 50億CFUなど、なるべく数字の大きいものを選ぶ(CFUは、細菌のコロニー形成を表す、プロバイオティクスで使われる単位です。10億CFU、50億CFUと表記されています。多いほど、たくさん細菌が入っていると思えば大丈夫です)
- 複数の細菌が入っているものを選ぶ(菌の多様性が確保されているものを選びましょう)
- 特定の菌類が入っているものを選ぶ(腸内環境を改善する効果があると分かっている、乳酸菌やビフィズス菌などが入っているものを選びましょう)
- 定期購入できる価格のものを選ぶ(腸内環境は継続して維持するものなので、続けられるものを選びましょう)
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