2022.08.27ブログ
第92回 骨粗しょう症の栄養学的アプローチ~カルシウムだけじゃダメ~
骨粗しょう症は高齢者の女性に多くみられる疾患で、骨折の原因にもなります。一般的な骨折は、若い頃には男性に多いと言われています。骨強度は高いものの、脂肪の少なさや運動量が女性に比べて多いことから、骨折につながりやすいというわけです。
高齢者の女性の場合は、閉経後にエストロゲン分泌が減り、骨に対するカルシウム吸着が減少してしまいます。すると、副甲状腺ホルモンでパラソルモンが増加し、骨分解が促進されると言われているのです。
※パラソルモン(parathormone)
上皮小体ホルモンとも言います。 副甲状腺(上皮小体)から分泌される 84 アミノ酸から構成されるポリペプチドホルモ ンである。 破骨細胞を間接的に刺激して骨吸収を促進します。
用語辞典を参照
高齢女性について紹介しましたが、男性も年齢を重ねると骨粗しょう症リスクが高まります。今回は栄養学的な観点で、骨粗しょう症対策にどんなことをすればいいのか考えてみましょう。
そもそも骨ってなにさ?
「骨」をイメージしてもらう方法として、私は建物と鉄筋コンクリートを想像してもらうことが多いです。ふたつのうち、骨の見た目は建物の状態に近いと言えます。すごく立派な豪邸に見えていても、中身の鉄筋がスカスカであれば建物は非常に脆く、地震や災害、経年劣化で簡単に崩れてしまいます。
骨もこれと同じです。ヒトである以上、骨格によって私たちの身体がかたどられているので、全身グニャグニャという人はいないでしょう。しかし、身体を支える骨が実はスカスカだと、ちょっとした刺激や衝撃で壊れやすくなってしまいます。
骨に欠かせない栄養~カルシウムだけじゃダメ~
じゃあ、そんな骨を健康に保つにはどんな栄養が必要でしょうか。いくつか代表的な栄養素を紹介していきましょう。
カルシウム
骨=カルシウムといえるくらい、カルシウムは骨の健康に欠かせない栄養素として知られていますね。体内のカルシウムの99%が骨と歯に存在します。日本では牛乳を飲む文化があるので、カルシウム量は達しているともいわれていますが、平成30年の国民健康・栄養調査では男女問わず、全年齢でカルシウムが不足していると言われています。
カルシウム不足の理由として挙げられるのが、日本の土地と食です。日本は火山灰による土地が多いため、欧米と比較して土壌にミネラルが少ないとされています。そのため、国内で栽培される野菜などの食物や、水のカルシウム含有量が少ないわけです。しかも、カルシウムは吸収率が低い栄養素のひとつです。
その吸収率は、乳製品で40%、小魚で33%、野菜で19%です。積極的に摂取しないと、必要量をカバーするのは難しいでしょう。皆さんが考える以上に、カルシウムは意識して摂ったほうがいいと言えますね。
ただし…。先ほどの建物と鉄筋コンクリートの事例で紹介しましたが、外側がしっかりしても中身がスカスカだと意味がありません。カルシウムをしっかり摂取しても、骨の中身を構成するたんぱく質(コラーゲン等)が不足すれば、骨は脆くなります。骨粗しょう症予防では、カルシウム「だけ」摂ればいいではなく、カルシウム「も」摂取するという考え方を持ちましょう。
マグネシウム
骨を構成する上で、カルシウムに並んで大切だとされるのがマグネシウムです。骨の健康度合いを示す指標として、「マグネシウムとカルシウムの比率」が挙げられます。通称「マグカル比」と呼ばれる、この指標の理想値は「理想値はマグネシウム1:カルシウム2」です。
小さいころにあれだけ飲んだ牛乳ですが、最近「飲みすぎに注意」と言われることが増えましたね。実は、牛乳のマグカル比は「マグネシウム1:カルシウム10」と、かなりカルシウムに偏っています。
真夏の水分補給では、汗で排出される塩分も同時に摂取しようと言われますよね。身体は塩分と水分の比率を均等にするために、過剰に摂りこまれた(と判断した)水を外に出してしまいます。結果、いくら飲んでも水分がない状態が続き、脱水症状になってしまうわけです。
カルシウムも、これと同じことが起きます。過剰カルシウムを摂取すると、体内ではマグカル比を調整するため、身体にある骨からカルシウムを分解・排出しようとします。この作用を「脱灰」と呼ぶのですが、結果的に骨が余計脆くなってしまうのです。
含まれているため、こういった観点からも、牛乳に代表されるカルシウムだけの過剰摂取は推奨されていません。そのため、カルシウムは小魚や海藻類など、乳製品以外で摂ることが推奨されるわけですね。もちろん、嗜好品としての乳製品を食べて楽しむことは否定しません。食事全体のバランスをそろえる意識を、大切にしましょう。
ビタミンD
マグネシウムはビタミンDの合成にも必要だとされます。そして、ビタミンDはカルシウムを骨へ吸収する際に必要な栄養素です。ビタミンDは日光を浴びることでも合成されるため、日中の散歩は骨粗しょう症の予防としても有効です。
また骨は、運動によるメカニカルストレスを受けることで、合成が強く促されるとも言われています。そのため、日中の散歩は骨合成において、重要な役割を担っているのです。
逆を言えば、運動せず過度に日光を避けるような行為(日光を避ける服や日傘の過剰な使用)は、骨粗しょう症を進行させる原因になります。このリスクが特に心配されるのが「幼少期」です。
骨軟化症、通称「くる病」と呼ばれる病気は、ビタミンD不足で起こる有名な疾患です。30分~1時間の外での運動を行わず、ビタミンDが不足した子どもには、骨の変形が見られるケースが見られます。栄養をしっかりとり、日光を浴びる習慣は、骨にとってとても大切であることがここからもよく分かりますね。
ただし、日光の浴びすぎは皮膚ダメージの原因にもなるので、長時間の運動は気をつけましょう。夏場などは熱中症のリスクにも警戒してください。
ビタミンK
ビタミンKもまた、骨の合成に必須の栄養素です。骨芽細胞から骨代謝を促進するタンパク質であるオステオカルシンの分泌・促進に作用するのが、ビタミンKの作用です。ビタミンKは納豆などからの摂取がおすすめです。
GIP(たんぱく質、糖質)
GIPは小腸上部に存在するK細胞から分泌されるペプチドホルモンです。食事摂取に伴い分泌され、膵β細胞に作用しインスリンの分泌を促進する因子であるインクレチンのひとつでもあります。
GIPは一般的に、脂肪の蓄積や骨密度を高める働きを持っており、脂肪や単糖類に反応して分泌されます。つまり、糖質やたんぱく質の制限は骨粗しょう症の原因になるわけです。
特に高齢者は、たんぱく質合成能力の低下、骨合成の効率低下が起こります。それを考えると、たんぱく質を多めに摂取することは、健康増進に高い効果を発揮すると言えます。
消化管のコンディションも大事
腸内環境が悪いと、ビタミンやミネラルなど、もともと吸収率の良くない栄養素がさらに吸収されにくくなります。さらに消化管では、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、IL-6やTNTαなどの、炎症性の物質も多く分泌されます。これらによって消化管の炎症が進めば、栄養素が吸収されにくい状態になってしまうでしょう。
乳製品はマグカル比のバランスが悪いことだけでなく、飽和脂肪酸が多く含まれるという点からも過剰摂取は避けた方がいいでしょう。たんぱく質は豊富なんですがね。
IL-6
IL-6(インターロイキン-6)は多彩な生理作用を有するサイトカインと呼ばれる物質の一種です。サイトカインとは、さまざまな刺激によって免疫細胞などから産生されるたんぱく質です。
サイトカインは、身体に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除するため機能があります。サイトカインには大きく分けてインターロイキン(IL)、インターフェロン(IFN),腫瘍壊死因子(TNF)などいくつも種類があります。それをさらに「IL-6」のように細分化すると、その種類は数百にものぼり、作用も多種多様です。
TNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)
サイトカインの一種で、腫瘍壊死因子と呼ばれ腫瘍をやっつける作用があるのですが、TNTαは関節リウマチ患者の関節で大量生成され、腫れ・痛みなど炎症や関節の壊死にも関わってしまうのです。
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