2022.12.10ブログ
第98回 脳力アップにつながる「飲み物」3選。やっぱりポリフェノールはすごかった【頭がよくなる栄養学】
皆さんは、日常的に飲んでいる飲み物はありますか?おいしいから、健康にいいからといった理由で、水やお茶、コーヒー、ジュースを飲んでいるかと思います(ここでは「アルコール」はなしで考えましょう笑)。日々、さまざまな研究で調べられているのが、「脳力アップに効果の高いドリンクの選択肢」です。今回は、研究によって能力アップにつながると思われる3つの飲料を、論文と一緒に紹介したいと思います。
①コーヒー
仕事でもプライベートでも、飲む機会の多いコーヒーは、最近特に健康効果に注目が集まっている飲料です。従来から知られているのは、コーヒーに含まれているカフェインの効果です。カフェインは覚醒作用があり、集中力を高めるとされています。利尿作用もあるので、老廃物の排出を促進します。運動能力向上、心臓の収縮力強化など、健康効果は多種多様です。
コーヒーに多く含まれるもうひとつの成分は、「ポリフェノール」です。ポリフェノールはほぼすべての植物に存在する、苦みや色素成分のこと。5,000種類以上あるとも8,000種類以上あるとされるポリフェノールは、光合成によって生成され、植物細胞の生成・活性化を促進する働きがあります。
コーヒーに含まれポリフェノールは「コーヒーポリフェノール」と言われ、クロロゲン酸というポリフェノールに分類されます。ポリフェノールの作用といえば「抗酸化作用」であり、心臓病、糖尿病、肝疾患などの病気予防や、血圧降下、肥満防止、口臭抑制など非常に多種多様です。
コーヒーポリフェノールの含有量は、あの赤ワインにも匹敵するんだとか(焙煎方法や保存方法、商品によって大きく変化します)。ある研究では、日本人のポリフェノールの摂取源の第一位が、コーヒーとさえ言われています。
さて、2021年に発表された論文では、コーヒーに多く含有されるポリフェノールが、人体に及ぼ神経生理学的変化を調査しました。実験では、ポリフェノールを多く含むコーヒーチェリー抽出物(WCCE)100mgを摂取するグループと、偽錠剤によるプラセボグループに分類。WCCEが、脳由来神経栄養因子(BDNF)およびグルタミン酸レベルにどう変化を及ぼすのか調べています。
BDNFはタンパク質の一種で、神経細胞の発生、成長、維持、再生を促します。海馬に多く含まれるBDNFは、別名「脳の栄養」とも呼ばれており、BDNFが増えることは、そのまま脳が活性化されていることを意味します。グルタミン酸は、中枢神経系における興奮性神経伝達物質です。記憶や学習といった脳の高次機能に、密接に関係しています。
すると、ポリフェノールを豊富に含んでいるWCCEは、ワーキングメモリーの向上に効果を発揮する可能性があることを示唆する結果が出たのです。特に、この実験では大脳辺縁系の各部位を結びつける役割を持つ「帯状回」が活性化されていることが分かっています。帯状かいは特に、感情形成やその処理、学習・記憶に関わる部位であり、その活性化は認知機能の向上を意味します。
数値的な部分も、WCCE投与後にはBDNFの増加、グルタミン酸/ガンマアミノ酪酸(GABA)の増加が確認され、脳機能の向上が見られたことが分かります。
②チェリージュース
ポリフェノールと言えば、とても有名な種類がひとつあります。それが「アントシアニン」です。アントシアニンは、植物が紫外線等の有害な光から、身を守るために蓄えている青紫色の天然色素です。アントシアニンが多く含まれている有名な食材と言えば、ブルーベリーですね。ただ、ナスや紫芋にも、実はアントシアニンは多く含まれます。
アントシアニンは「視力」に関連する健康効果が非常によく知られていますが、2017年に発表された論文では、アントシアニンが認知機能にどう影響するのかを調査しています。実験は、軽度から中等度の認知症の高齢者を対象に、12週間の実験を実施。実験では、アントシアニンを豊富に含むチェリージュースを飲むグループと、アントシアニンを含まない飲料を飲むグループとに分かれ、1日200ml摂取してもらいました。
その後、研究6週間後と12週間後の2回、血圧と炎症マーカーを調査しています。炎症マーカーは炎症の程度を予測するための指標で、今回の研究では「※IL-6」と「※CRP」を調べています。
※IL-6(インターロイキン-6)
多彩な生理作用を有するサイトカインと呼ばれる物質の一種で、免疫応答や炎症反応の調節において重要な役割を果たしている。
※CRP
炎症や細胞・組織破壊が起こると血中に増加するタンパク質。体内で炎症が悪化すると値が上昇する。
この実験の結果、チェリージュースを飲んだグループは、言語を流暢に話せるようになったり、短期記憶・長期記憶の向上が見られたりしました。血圧の低下なども見られましたが、炎症マーカーの変化は確認できませんでした。
③オレンジジュース
最後に紹介するジュースも、やはりポリフェノール関連です。ジュースと言っておきながら、「ポリフェノールの脳機能アップ効果」に関する話になってしまいましたね(笑)。2015年に発表された論文は、果実由来のポリフェノールであるフラボノイドを多く含む飲料が、認知機能にどう影響するのかを調査しました。ちなみに、フラボノイドは先に紹介したアントシアニンやフラボンなど、多くのポリフェノールが該当するポリフェノールの一種です。
今回、飲料の対象として選ばれたのが「オレンジジュース」です。大人になると、とたんに飲む機会が減ってしまう飲料ですね。研究では30~65歳の健常男性に対して、2週間240mlのオレンジジュースを飲んでもらった後、2日間の期間を空けて今度はグループと同程度のカロリーの飲料を2週間飲んでもらいました。
そして、飲用前と飲用2時間後・飲用6時間後のパターンで、認知機能テストを実施。その結果を調べました。その結果、オレンジジュースを摂取した直後、成人男性は約6時間にわたり、認知機能が急性的に増強されていたそうです。ポリフェノールなど、どんな栄養も「継続的に摂取する」ことが健康増進には不可欠です。
しかし、飲んだ直後の脳力アップも確認できたというのなら、仕事の合間の飲料としてオレンジジュースを選んでもいいかもしれませんね。特に、コーヒーが苦くて飲めないという人には、いい選択肢だと思います。
ちなみに、みかんのような柑橘類に多く含まれるポリフェノールは「ヘスペリジン」といいます。ヘスペリジンには中性脂肪低下、冷え性改善、ストレス改善、血圧上昇抑制、肌質改善…など、他のポリフェノールと同様に多彩な健康効果を発揮します。
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